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2012年12月6日(木)

きょうの潮流

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 四十数年前、初めて歌舞伎をみました。演目も忘れてしまいましたが、ひょうひょうとして風格のにじむ、中村勘三郎の舞台姿だけは、ずっと記憶から消えません▼先代の勘三郎です。のちに知りました。先代は、いつも「その役になりきれ。なりきっていればなにをしてもいい」といっていた、と。息子の十八代勘三郎が、父の思い出を話していました▼子どものころわんぱく小僧で、先代にしかられてばかりいたという勘三郎さんが亡くなりました。2歳で初めて舞台にあがった、根っからの歌舞伎好き。みずから平成中村座をおこすなど、新風を巻きおこしながら病に舞台人生を断ち切られました▼伝説として語り継がれるだろう「東海道四谷怪談」のあわれなお岩役はじめ、父の教え通り役になりきっていました。井上ひさし作品や映画では、歌舞伎界の御曹子(おんぞうし)の看板をかなぐり捨て、人を殺し女性を辱しめる悪人や汚れ役を演じました。見ていて、「こんな役まで」と驚いたものです▼粋でおおらか。芸だけでなく、人柄でも人々をひきつけました。57歳。歌舞伎界が昨年来失った名優、中村富十郎、中村芝翫(しかん)は80代、中村雀右衛門は91歳の最期でした。若すぎる死。勘三郎さんのいない演劇界を想像すると、さびしさが募ります▼魅力のにおい立つような舞台姿とともに、「しんぶん赤旗」日曜版の創刊45周年にいただいた温かい言葉を振り返りながら別れを惜しみます。「いい新聞なんだから、同じ名前で永遠に続いてほしいですね」


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