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2012年11月30日(金)

利益ため込んだ内部留保

取り崩し、雇用・賃上げを

トヨタ 現預金、1割で2000人雇用可能

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 資本金10億円以上の大企業がため込んでいる内部留保は260兆円以上に上ります。国民の懐を温め、日本経済を立て直すためにはその活用が欠かせません。

 内部留保は企業がため込んだ利益です。利益を積み上げた中から、株主配当などで社外に出て行く部分を除いたものです。営業活動を通じて蓄積された利益剰余金が大部分を占めています。ほかには資本取引から生じる資本剰余金や各種の引当金、準備金などがあり、その合計が内部留保となります。

 内部留保は現金でため込まれているとは限りません。現金や預金、有価証券などでため込まれているものがあれば、土地や機械、設備などの形になっているものもあります。

 最も多くの内部留保をため込んでいるトヨタ自動車の場合、子会社を含めた2011年度連結決算で利益剰余金は11兆9171億円、資本剰余金は5507億円です。

 財界は、内部留保は機械や土地、設備などの資産になっているので取り崩すことはできないと言い訳しています。しかし、トヨタ(親会社のみ)を例にとっても、資産のうち現預金は1637億円、有価証券は1兆2392億円あります。一部を取り崩して雇用や賃上げに活用することは十分可能です。現預金の1割を雇用に回すだけで、年800万円の人件費がかかる労働者を約2000人雇うことができます。

 大企業は下請けの中小企業に対し、納入単価たたきをはじめ、不公正な取引を強要しています。これを改め、適正な単価を支払うことも必要です。

 日本共産党は総選挙政策「日本共産党の改革ビジョン」で、大企業の内部留保を雇用や中小企業に還元し、内需を増やして「デフレ不況」の悪循環を断ち切る転換を掲げています。

 大企業が巨額の内部留保をため込んでいることが明らかになるにつれ、財界総本山の経団連もこれを無視できなくなっています。経団連は従来、春闘を前に「経営労働政策委員会報告」を発表して賃金抑制を主張しています。内部留保については「会計上の概念」であり、現金などは手元にはないから「取り崩せない」と例年言い訳してきましたが、昨年からはこの記述が消えました。

 10年7月、経団連が発表した提言「『新成長戦略』の早期実行を求める」は、海外現地法人の内部留保について、「一部を国内に還流させ、新たな成長が期待される分野への前向きな投資と雇用の創出に結び付けるためのインセンティブ拡充について、取り組みを強化すべきである」と明記しました。内部留保を雇用に使えることを財界自ら認めています。(山田俊英)


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