2012年11月30日(金)
高年齢者雇用安定法
恣意的な継続雇用拒否は違法
最高裁が初判断
JMIU組合員、画期的勝訴
定年後の継続雇用を恣意(しい)的に拒否されたJMIU(全日本金属情報機器労組)津田電気計器支部(大阪府箕面市)の岡田茂書記長(64)が同社に地位確認などを求めた訴訟の上告審判決が29日、最高裁第1小法廷でありました。山浦善樹裁判長は、解雇権乱用法理を類推適用して雇用関係の存続を認め、同社に雇用の存続と賃金の支払いを命じました。
判決は、継続雇用の基準を満たす労働者は定年後も雇用継続を期待する合理的理由があるとし、解雇法理を類推適用。そのうえで、雇用関係が存続していると判断し、会社側の上告を棄却しました。高年齢者雇用安定法(高年法)下の再雇用拒否事件で、最高裁による初めての判断です。
岡田氏は1974年の労組結成の一員で、主に書記長を歴任。定年後の09年1月、低く査定され、継続雇用を拒否されました。岡田氏を含む全組合員3人だけが継続雇用されていません。
10年9月の大阪地裁、11年3月の大阪高裁のいずれも岡田氏が勝訴していました。
2006年改正の高年法は、65歳までの定年延長、定年制の廃止、希望者全員の継続雇用のいずれかの措置を使用者に義務付け。多くの事業所で継続雇用制度がとられたものの、組合員排除など恣意的に運用され、差別の温床になっています。今夏の改正後も懸念が残されています。
判決後、東京都内で記者会見した岡田氏は「本当にうれしい。この判決は、私のみならず、継続雇用拒否でたたかわれている多くの労働者の励ましになる」と喜びました。