2012年11月28日(水)
軍需企業に“天下り”
米軍高官7割 国防政策に影響力
【ワシントン=山崎伸治】2009〜11年に中将・大将のランクで退役した米軍高官の70%が米国防総省と契約関係にある企業に“天下り”していたことが分かりました。この割合はそれ以前よりも下がっているものの、軍・国防総省が軍需産業と強く結び付き、その影響を受けていることを改めて示しています。
政府高官や議員の不正・腐敗を追及する民間組織「ワシントンの責任と倫理を求める市民(CREW)」がこのほど公表した報告書で指摘しました。
それによると09〜11年に退役した中将・大将108人のうち、70%にあたる76人が“天下り”していました。このうち少なくとも9人が、国防総省との契約総額で上位5社(ロッキード・マーチン、ボーイング、ゼネラル・ダイナミックス、レイセオン、ノースロップ・グラマン)に就職。少なくとも12人が国防総省との契約獲得を手助けするコンサルタント会社に入社しています。
さらに退役後、軍需企業に再就職する一方で、国防総省の諮問機関「国防政策委員会」に加わる元高官もいます。元海兵隊大将で統合参謀本部副議長を務めたジェームズ・カートライト氏は11年9月に退役後、レイセオンの取締役に就任するとともに、同年10月に同委員会のメンバーに任命されています。
“天下り”する軍高官の割合は1994〜98年には50%に満たないものでしたが、2004〜08年では80%に達していました。
報告書は今回、“天下り”の割合は減ったものの、「退役する中将・大将の大多数が国防総省と契約関係にある企業に雇われ続けている」と指摘。こうした人物が国防総省に対し「偏りのない助言」を行うとは限らないと批判しています。