2012年11月8日(木)
介護保険 ますます使いにくくなった
認知症の人と家族の会
「(介護保険)制度は利用者の立場から離れて、ますます使いにくく、またわかりにくいものになってしまった」。介護保険で事業者に支払われる介護報酬が4月に改定された影響について、全国に約1万人の会員がいる「認知症の人と家族の会」が指摘しています。
同会は5月にアンケート調査を行い、報酬改定後の利用者の状況などを把握した上で、このほど見解を発表しました。
同会は、今後5年間で70万人近く増えると厚生労働省が見込んでおり、「最重点課題であるはずの認知症」に対して、4月の改定で新しい施策がまったく実施されなかったことを批判。訪問介護については「サービス提供時間が短縮、細分化されたことにより、利用者がこれまでどおりサービスを受けるのが難しくなった」としています。
在宅介護・医療を強化する「目玉」サービスとして新設された短時間の「定期巡回・随時対応型サービス」については、「有効性の検証は不十分」だと指摘。実施がごく少数にとどまっているとして、「夜間のサービス利用・提供について解決すべき課題の大きさが証明された結果」と主張しています。
報酬改定では、介護労働者の処遇改善のための交付金(全額国費)が廃止され、介護報酬に上乗せされました。介護報酬は利用料・保険料も財源としているため、利用者と被保険者の負担増を招きました。同会は、「介護を必要とすればするほど(利用者の)負担が増える」と批判し、処遇改善策は一般財源(税金)で継続すべきだと求めています。