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2012年11月5日(月)

難民帰還権で“譲歩”

アッバス議長発言に波紋

パレスチナ

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 【カイロ=小泉大介】難民の帰還権をめぐり、パレスチナ自治政府のアッバス議長が2日放映のイスラエル民放テレビ番組で行った“譲歩”発言が波紋を広げています。イスラエルからは歓迎する声が出る一方、イスラム武装抵抗組織ハマスなどは強く反発する事態となっています。

 アッバス議長は「私にとって(東エルサレムを含む)ヨルダン川西岸とガザがパレスチナであり、それ以外はイスラエルだ」と述べるとともに、「私は難民だが、現在は(西岸の)ラマラに住んでいる」「(生まれ故郷で現在はイスラエル北部の)サフェドを訪ねることは私の権利であるが、住むことはそうではない」として帰還権譲歩を示唆しました。

 1948年のイスラエル建国で発生し67年の第3次中東戦争で拡大したパレスチナ難民は現在約500万人(子孫を含む)に達し、この問題の解決は和平交渉の最大の課題の一つです。難民帰還権を認めた48年の国連総会決議194にもとづく公正な解決を求めるパレスチナにたいし、イスラエルは帰還権を認めればユダヤ人国家が破たんするとして拒否してきました。

 今回の発言についてイスラエルのペレス大統領は3日の声明で、「議長の勇気ある言葉は、イスラエルが和平の真のパートナーを有していることを示している」「われわれは最大限の尊敬をもってその言葉に応えなければならない」などと表明しました。

 パレスチナ側では、「現実的な発言」だと評価の声が上がる一方、ガザを実効支配するハマスの最高指導者の一人、ハニヤ氏は「極めて危険なものだ」「生まれ故郷への帰還権を放棄する発言を行うことは誰であっても許されない」と強く批判。アッバス氏が議長を兼任するパレスチナ解放機構(PLO)の反主流派組織・パレスチナ解放人民戦線も「難民帰還は譲歩できない権利だ」と反発しています。

 賛否両論が起こる中、アッバス議長報道官のルデイナ氏は3日の声明で、「難民帰還権は和平交渉における未解決の問題である。テレビ・インタビューは交渉ではない」と述べ、帰還権問題は和平交渉のなかで解決されるべきだとの見解を示しました。


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