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2012年11月1日(木)

原子力規制委 防災指針

これで住民守れるのか

ヨウ素剤服用基準 先送り

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 原子力規制委員会が31日策定した原子力災害対策指針(防災指針)は、放射性物質の放出前に直ちに避難する予防的措置準備区域(PAZ)を原発から半径5キロ圏に、緊急時に避難や屋内退避ができるよう備えておく緊急防護措置計画区域(UPZ)を同30キロ圏に設定しました。しかし、事故のどの段階で避難指示などの防護措置を発動するかを判断する基準を策定していません。(三木利博)


 さらに30キロ圏外で放射能雲(プルーム)による被ばくの影響に対する防護措置が必要な区域の設定や、ヨウ素剤服用の基準、被ばく医療のあり方、現地の災害対策拠点であるオフサイトセンターのあり方など、事故の影響から住民の命と安全を守る上で重要な問題も先送りされています。

実効性「道半ば」

 この日の会合で原子力規制委の更田(ふけた)豊志委員は「実効性の観点からすれば道半ば」と述べましたが、「道半ば」のもので各自治体に来年3月までに地域防災計画を求めるのは無責任です。

 また同委が先週公表した放射性物質の拡散予測では30キロ圏より遠い範囲で緊急避難が必要な地域がある可能性が示されました。30キロ以遠の地点に位置する自治体では、UPZ並みの地域防災計画を作ると表明している自治体もあります。

 田中俊一委員長は「(拡散予測は)あくまでも計算。(柏崎刈羽原発の全7基で事故が起きることは)実際には、ほとんどない」などと述べ、UPZの範囲は30キロで「十分」としました。しかし、拡散予測は東京電力福島第1原発事故と同じレベルの放射性物質の放出量を想定しており、原発事故の規模がそれにとどまる保証はありません。こうした矛盾を自治体に押しつけるのは許されないことです。

議論尽くされず

 規制委で指針のたたき台が示されて、わずか1カ月足らず。指針は、旧原子力安全委員会で議論された内容を成文化したものが中心です。しかも唯一の公開の場である定例委員会で田中委員長は「時間がない」を繰り返し、委員からも、なぜ30キロでいいのかなど掘り下げた議論は見られませんでした。

 福島第1原発事故以前から、住民団体や日本共産党は、従来の8〜10キロ圏を見直すよう求めてきました。しかし、国は何の対応もしてきませんでした。規制委の姿勢は福島第1原発事故で徹底的に批判された「安全神話」そのものです。拙速で不十分な計画作りでは、住民の命と安全を守ることはできません。

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