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2012年10月30日(火)

子育て「新システム」をどうみる

日本共産党女性委員会責任者 広井 暢子さんに聞く(上)

保育の責任があいまいに 本格実施前に廃止しよう

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 公的保育制度を大本から変える「子ども・子育て新システム」(「子ども・子育て支援法」等3法案)が強行成立して2カ月余。民自公3党合意で“修正”された内容、市町村の保育実施責任・義務はどうなるのか、それをふまえたたたかいの方向について日本共産党の広井暢子女性委員会責任者に聞きました。


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 民主党政権がすすめた「新システム」導入にたいし、「国と自治体の責任を後退させる」「保育が親の“自己責任”にされる」と、反対の声と運動は父母や保育士、保育園や幼稚園関係者、女性団体などに大きく広がりました。そのまま強行できないという事態に追い込まれた政府は、最後の密室での3党協議で合意した修正法案を強行採択しました。

修正前と同じ立場

 ここで二つの問題をおさえておきたいと思います。一つは修正されたといわれる内容をどう見るかということです。

 修正された児童福祉法第24条「市町村の保育実施義務」ですが、「保育所において保育しなければならない」の文言は残りました。これは“市町村の責任をなくす改悪反対”の世論が押し返した結果です。ところが、市町村の保育所への実施義務は残したものの、実際には市町村の責任としては認定こども園、家庭的保育事業などでの必要な保育を確保する措置(責任)をとればよいという修正前の立場は変わっていません。“保育しなければならない”の規定を盾に、保育を必要とする子どもに公的保育実施の責任を現場から果たさせていくたたかいが重要になってくると考えています。

 もう一つは、総合こども園法案が取り下げられて認定こども園法の一部改正と新システム基本法である「子ども・子育て支援法」が成立しましたが、現行保育制度を改悪する基本構造は変わっていないということです。

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(写真)子ども・子育て新システム反対、保育制度の拡充を求めて開かれた集会の参加者(8月20日、神戸市)

 事業者と「直接契約」、保育の必要性の認定、そのうえに時間区分の認定を受けるという仕組みも残されています。株式会社参入のための「規制緩和」も同じです。

 重大なのは、“新システムの主要な目的の一つは待機児解消”と強弁しながら、認可保育所をつくる時に国が2分の1、市町村が4分の1負担してきた施設整備の補助金を廃止したことです。これでは市町村が保育実施義務を果たしたくても果たせない。自民党や公明党が「保育実施義務は残した」といいますが、密室協議で公的保育解体に道を開いた責任は、許されないものです。

増税阻止とともに

 「新システム」の本格的実施は、消費税10%の増税分を財源にしているので、早くても2015年4月です。消費税増税を許さない運動と一体に、「新システム」を実施させず、廃止に向けた国民的な運動を進めたい。政府は都道府県にたいして実施に向けた具体化指導をすすめ、来年度からは国の指針や基準づくりの作業を始めていきます。法律で枠組みを決めたが内容はこれからというものです。都道府県、市町村行政による改悪先取りを許さず、保育要求をたばねた新たなたたかいで反撃を開始していくときです。(つづく)


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