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2012年10月30日(火)

主張

所信表明演説

反省抜きに「明日」は語れない

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 野田佳彦首相の所信表明演説を聞き、あらためて怒りがわきます。

 首相は、「あしたの安心を生み出したい」「明日への責任を果たしたい」といいます。ところが内閣改造後わずか3週間で自ら任命した田中慶秋前法相が辞任したことについても、前国会の会期末に自ら参院で問責を決議されたことにもいっさいふれず、反省の一言もないのです。自らの反省を抜きに「明日への責任」といっても、それは開き直りにしかなりません。演説の朝、ある全国紙の世論調査は内閣支持率が急落したと伝えました。野田政権が政権担当能力を失っているのは明らかです。

国会の異例な幕開け

 野田政権が3度目の内閣改造を行ってから約1カ月、ようやく召集された臨時国会は、衆院では野党の同意がないまま民主党の議運委員長が本会議の日程を設定し、参院では所信表明演説も各党の代表質問も日程が決まらないという異例な幕開けです。一方の院で所信表明演説も代表質問も行われないのは戦後初めてです。

 それだけに野田首相が国民になにを語り、どう説明するのかが問われましたが、辞任した田中前法相の問題についてさえ一言もふれない首相の演説は、文字通り無責任のきわみです。暴力団関係者との癒着や外国人からの献金が明らかになって辞任した田中前法相の問題は、田中氏自身だけでなく、首相の任命責任にかかわる大問題です。田中氏が辞めたあとは口をつぐむというのでは、首相の責任を果たしていません。

 野田首相が参院で問責を決議されたのは、公約違反の消費税増税を、民主・自民・公明の談合で強行したためであり、本来は内閣不信任に値します。にもかかわらず野田首相が所信表明演説で問責にふれず、「一体改革」法の成立は「『決断する政治』への断固たる意思を示した画期的な成果」「次の世代に引き継いでいくための大きな一歩」などと、ことばを極めて賛美したのは、国民と国会への開き直りそのものです。

 野田首相が所信表明演説の中で20回も繰り返した「明日への責任」ということばの中身も、国民にまったく「あしたの安心」を与えるものではありません。たとえば原発問題について首相は、「即座に原発をなくそうとする主張」を、「明日への責任を果たすことにならない」と切って捨てました。「即時原発ゼロ」を求める国民世論への挑戦です。原発に固執し続ける財界の要求が背景にあります。

 沖縄をはじめ全国に批判が広がっている米軍の新型輸送機オスプレイの配備についても首相はふれず、「あくまで基軸になるのは、日米同盟」と断言しました。一方、米兵の卑劣な女性暴行事件には口先で「再発防止」といっただけです。首相の念頭には、アメリカへの忠誠以外ないようです。

徹底審議のうえ解散を

 アメリカいいなり、財界本位の害悪を取り除かなければ、政治の行き詰まりは解決しません。自らの悪政を認めようともしない野田首相に国民の明日は語れません。

 原発と震災、米軍基地、経済問題など、国会で審議すべき国政の重大問題は山積しています。野田首相と民主党は国民の前で正々堂々と議論し、争点を明確にしたうえで、すみやかに衆院を解散、国民の審判を仰ぐべきです。


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