2012年10月29日(月)
生活援助時間短縮
「生活に支障ある」47%
介護従事者アンケート
介護保険で今年4月から訪問介護の生活援助(掃除・調理など)の基準時間が短縮された影響について愛媛・千葉・福岡のケアマネジャー542人に尋ねたところ、47%(254人)が「利用者の日常生活に支障がある」と答えたことが28日までにわかりました。「支障はない」との回答は11%(60人)にとどまりました。(グラフ1)
淑徳大学の結城康博准教授が、4〜6月に3県で開かれた介護従事者の研修会などでアンケート調査を実施。1108人の参加者のうち746人から回答を得ました。このうち生活援助の質問項目については在宅のケアマネジャー(542人)にだけ回答を求めました。
サービス必要
「生活援助サービスは介護保険給付サービスとして必要か」との問いに対しては、82%のケアマネジャーが「必要である」と回答。「必要でない」と答えたのは4%だけでした(グラフ2)。自由意見では「(生活援助は)自立支援の立場でも必要不可欠」「重度化を防ぐ意味で必要不可欠」などの声が相次ぎました。
厚労省が個室化を推進している特別養護老人ホームについて「(4人部屋など)多床室も必要と考えるなら、その最大の理由は?」と尋ねたところ、介護従事者の48%が「経済的側面(安い)」、19%が「待機者が多い」と回答。「地方は国民年金のみの受給者が多いので(利用料の高い)個室は難しい」との意見が複数ありました。
1カ月に保険で利用できる上限額(支給限度額)については「現状維持で妥当」が52%を占めた一方、「限度額を上げるべきだった」との回答も26%ありました。「医療ニーズの高い人は限度額を上げるべきだ」「重度の方が退院する傾向で、限度額がいっぱいになる」などの声が続出しました。
別の調査でも
また、愛知県で6月にホームヘルパー166人を対象にし、152人から回答を得た結城准教授の別のアンケート調査でも、生活援助の提供時間の短縮について「不適切であった」との回答が50%に上り、「適切であった」の31%を上回りました。生活援助の時間短縮で「利用者に影響がある」と答えた人は80%に達し、「時間内にサービスができないことがある」「コミュニケーションをとることができない」「独居高齢者は困っている」などの自由意見が相次ぎました。
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