2012年10月27日(土)
ミャンマー
民族衝突 100人超死亡
政府 “背後に特定人物”
【ハノイ=面川誠】ミャンマー西部ラカイン州で21日からイスラム教徒のロヒンギャ族と仏教徒のラカイン族の住民衝突が再燃し、26日までに少なくとも112人が死亡したもようです。大統領府は25日に声明を発表し、「国際社会がミャンマーの民主化を注視しているいま、このような騒乱は国のイメージを損なう」と改革への悪影響に危機感を示しました。
ラカイン州の州都シットウェ一帯では5月下旬、ロヒンギャ族の男性がラカイン族の少女をレイプした事件をきっかけに衝突が発生し数十人が死亡しています。今回、再燃した衝突はシットウェ周辺の町に拡大。ミャンマー政府が外国投資の呼び込み先として重視する工業団地があるチャウピューにも波及しています。
昨年から民主化と経済再建を進めているテイン・セイン政権は、国内の安定を最優先課題として、少数民族組織との停戦合意を次々に実現してきました。
その成果を壊しかねないラカイン州の不安定化は、政府にとって大きな負担。大統領府は25日の声明で、騒乱の背後に「特定の人物と団体がいることが分かった」として「法に基づく処罰」を警告し、事態の鎮静化を急いでいます。
ロヒンギャ族 ベンガル系のイスラム教徒で、ミャンマーのラカイン州に70万〜120万人、バングラデシュのチッタゴン管区に約20万人が居住。もともとは東インド(現バングラデシュ)に住んでいましたが、英国の植民地政策により奪われたミャンマーの農地に労働移民として移住したといわれています。