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2012年10月24日(水)

きょうの潮流

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 「谺(こだま)雄二」の名前には、谺さんの深い思いが込められています。21日付で、失礼にもその「雄二」を「裕二」と間違えてしまいました▼ハンセン病の国賠訴訟全国原告団協議会の会長、谺さん。かつて「谺雄二」は、姓も名も筆名でした。10代のころの話です。谺さんは、三つ上のお兄さんとともに、東京のハンセン病療養所、多磨全生園に入っていました▼2人とも、大の本好き。お兄さんは、あかぎれがもとで患った右足を切断し、よけい本の虫に。ある日、兄がいいます。「おれ(療養所から)出ようかな」▼わけを聞くと、「好きな人ができてなぁ」。「誰?」。「看護婦だ」。彼女には薬物中毒の肉親がいる、という。弟は説得します。「そんな足で働けるわけじゃないし、看護婦にその肉親と一緒にめんどうみてもらうことになって、みじめになるだけだ」。反論できない兄▼彼は、恋人を忘れようとして患者仲間の補助看護に熱中します。無理がたたり、病が進む。ついに息を引き取ります。弟がいくら名をよんでも、聞こえているはずがこたえないまま。弟は悔やみます。「おれがまずかったな。兄貴の思うようにさせればよかったな」▼彼女の姓は「こだま」。兄の名「政雄」。弟は「良治」。3人分で「谺雄治」。弟は、「治」を「二」と変えて「谺雄二」と名乗ります。「二人」のことを一日たりとも忘れまい、と。のちに、「谺雄二」を本名にしました。誓いを胸に、「人間回復」のたたかいに今日も忙しい、ことし80歳の谺さんです。


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