「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年10月24日(水)

主張

障害者の生活苦

“家族頼み”はもはや限界だ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 収入はきわめて少なく、親など家族と同居しなくては生活が成り立たない―。障害者の厳しい暮らしぶりが障害者団体の調査で明らかになりました。家族に万が一のことがあれば、たちどころに生活に行き詰まる障害者の生活のもろさを示しています。周囲に知られることなく家族が先に亡くなり、残された障害者まで命を落とす「孤立死」の悲劇も相次いでいます。障害者と家族が希望をもって安心して生きていける社会への基盤づくりが急がれます。

“共倒れ”の危険

 調査をしたのは全国の小規模作業所などでつくる「きょうされん」です。福祉施設などを利用する障害者や家族約1万人が回答しました。

 浮き彫りになったのは極端に少ない障害者の収入です。「ワーキングプア」(働く貧困層)水準といわれる年収200万円以下は98・9%に達しました。年収100万円以下は56・1%にのぼります。障害のない人との収入の差は歴然としています。生活保護を受給している人は回答者の9・95%と、障害のない人の生活保護の利用率の6倍以上でした。障害年金、障害手当、福祉施設での賃金などを合わせても、とても暮らせないというのはきわめて異常です。

 低収入状態が、障害者が長期にわたって家族に依存せざるをえない状況をつくり出しています。10代から40代前半までの障害者の約6割が「親と同居」していました。40代後半から50代前半の障害者でも4割前後が親と同居を続けています。結婚している障害者はわずか4%です。

 親との同居でも十分な収入が保障されるとは限りません。50歳前後になった障害者の親はほとんど年金暮らしです。少ない年金で障害者も親もギリギリの生活を強いられているのです。

 収入が少ない障害者ほど外出の機会が減り、施設の休みの日などは自宅に閉じこもる傾向にあることも調査で分かりました。親も、子どもの世話で必死の生活で余裕を失い、周囲から孤立しがちになるといわれています。経済的困難が、「家族依存」を強めさせ、家族も地域とのつながりを希薄にしていく―まさに悪循環です。

 親の高齢化もすすんでいます。両親ともに健在という家庭も少なくなっています。介護者の6割以上が母親で、そのうちの49%が60歳以上という調査もあります。年老いた親が障害者の面倒をみることは体力的にも無理があります。子どもが生まれたときから懸命に介護してきた親たちが心身ともに疲弊し、追い詰められる社会であっていいはずがありません。

支える体制づくりを

 障害者の生活支援をもっぱら家族に押し付け、安上がりの社会保障政策を続けてきた歴代政権の責任は重大です。障害者と家族を支える社会保障政策に転換するときです。

 地域で暮らす障害者と家族が安心して生活できるために、障害者年金の拡充など十分な所得保障制度をつくることが必要です。不足しているケアホームなど障害者が地域で自立して生活できる基盤づくりを行政の責任ですすめなければなりません。家族を支える体制の整備も求められます。障害者と家族の願う障害者関連法制の改定を実現する取り組みが重要です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって