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2012年10月19日(金)

主張

「違憲状態」判決

選挙制度の抜本改革は急務だ

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 前回2010年の参議院選挙は「違憲状態」だった―。最高裁が、長官が裁判長を務める大法廷でこう判決したのは重大です。選挙の無効は退けたものの、制度を改めないで次の選挙を行えば、違憲と判決される可能性が大です。

 判決は一部の選挙区の定数を調整するだけでなく、選挙制度を改正し「1票の格差」を解消するよう求めています。先の国会で民主、自民などが提案し強行した定数の「4増4減」案でごまかすのではなく、抜本改正が不可欠です。

格差は最大5倍にも

 判決は前回参院選挙の、都道府県を単位とした選挙区選挙での「1票の格差」をめぐるものです。前回選挙では議員1人当たりの有権者数が最高の神奈川県の約121万人と最低の鳥取県の約24万人とでは5倍もの開きがありました。全国17カ所で起こされた裁判は、高裁では「合憲」「違憲」「違憲状態」と判断が分かれました。

 参院の選挙制度は、全国1区の比例代表と、都道府県が単位の選挙区があり、任期は6年ですが、3年ごとに半数ずつ改選します。得票に応じて議席が配分される比例代表では「1票の格差」はありませんが、選挙区選挙では定数が偶数となっていることもあり、人口の変化で格差が拡大します。

 憲法は「法の下の平等」を定めており、国民は誰も投票は1票が原則です。それに照らせば、「1票の格差」が5倍などというのは本来認められません。それでも参院の選挙区は地域代表の要素があるため、最高裁はこれまで格差があっても「違憲」や「違憲状態」とは判決しませんでした。これまで「違憲状態」と判決したのは、格差が6・59倍に達した1992年の参院選だけです。

 格差が5倍だった10年の参院選についての最高裁の「違憲状態」判決はきわめて重いものです。92年の参院選挙が「違憲状態」とされた後も格差が残りました。そのため、01年参院選の判決では一部の裁判官が次回は違憲判断の余地があるとのべ、前々回07年の参院選についての判決は現行の選挙制度では定数是正だけで格差の縮小は困難だと、制度そのものに踏み込んで見直しを求めました。

 ところが10年の参院選挙はなんの是正も行われず選挙が実施されたため、「違憲状態」と批判されることになったのです。判決は「一部の選挙区の定数の増減にとどまらず、都道府県単位の現行制度を改めるなど、選挙制度自体の立法措置を講じ、すみやかに不平等状態を解消する」ことを求めています。衆院の選挙制度に続き参院でも「違憲状態」判決を突きつけられた、国会の責任は重大です。

民主、自民の責任は重大

 参院の各会派間ではこれまで、選挙制度改正についての協議が重ねられてきました。昨年春には当時の参院議長が総定数を削減しない全国11ブロック比例代表案を提案したこともあります。ところが前議長が亡くなると、前国会で民主党が突然、「4増4減」案を提案、自民党といっしょになって参院での採決を強行したのです。各党協議の議論を踏まえず、4・746倍もの格差を残す案を強行した両党の責任は重大です。

 選挙制度の問題で一部の党による暴挙は許されません。各党協議の原点に立ち返り、抜本改正で格差を是正することが急務です。


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