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2012年10月16日(火)

きょうの潮流

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 「第九(だいく)」で親しまれるベートーベンの交響曲第9番ニ短調。その第4楽章「歓喜の歌」を、自由への賛歌としてうけとめる人は多い。それは欧州の歌でもあります▼ひと口で欧州といっても、そこには50をこえる国や地域がひしめき合います。それぞれが独自の言語や文化を形成し、過去にはたびたびいがみ合ってきました▼大きく傷ついた第1次世界大戦後、この地を平和的に統合しようと「パン・ヨーロッパ運動」が起きます。提唱したオーストリアのカレルギー伯爵は、それには独仏の和解が必要だと訴えました▼しかしヒトラーの登場とともに運動は挫折、ふたたび欧州は戦火に覆われます。平和への思いが実ったのは、各国とも多大な犠牲をだし、衰退した第2次世界大戦後でした。手始めは、仏・西独・伊など6カ国が参加した欧州石炭鉄鋼共同体。統合分野は次々に拡大し、1993年、ついにEU(欧州連合)が発足します▼現在は27カ国が加わるそのEUに、今年のノーベル平和賞が贈られました。理由は「欧州を戦争の大陸から平和の大陸に変革させる重要な役割を果たした」。国家間の和解や国境をこえたとりくみの成果とともに、その前途にも希望をこめた授賞なのでしょう▼いまEUはユーロ危機や加盟国の財政危機にみまわれています。きびしい緊縮策を押しつけられた市民からは賞に批判の声もあがっています。生活の安定をもたらしながら「ひとつの欧州」がどう発展していくか。人類史の壮大な実験を見守りたい。


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