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2012年10月14日(日)

きょうの潮流

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 ジョロウグモが網を張りだすはずのころなのに、ことしはなぜか見かけませんでした。先日、通勤路ぞいの雑木林でやっと一つ見つけました▼露にぬれて光る糸。夕日をあびて黄金色をおびる網。ジョロウグモがつくりだす自然の芸術品です。ジョロウグモの横糸は、5本ぐらいずつまとまって張られていて、楽譜を書き記す五線にもみえます▼奄美群島や沖縄の島々にすむ仲間の一種、オオジョロウグモの糸は、とうとう名曲を奏でました。バイオリンの弦に用いられたというので、ことしの話題になっています▼奈良県立医科大の大崎茂芳教授が、300匹を超すクモからとりだした1万数千本の糸をより合わせ、1本の弦をつくりました。「柔らかく深みのある音色」だそうです。人は、強くてしなやか、弾力に富むクモ糸をどう利用するか、さまざま考えてきました▼調べてみると、実用化の例もあります。銃を撃つ時ねらいを定める、照準の十字の目盛りです。防弾チョッキ用など、軍事利用の研究はいまもすすんでいるようです。しかし、やはり軍事より音楽の方がいい。オスプレイ機まで来た基地の島、沖縄のジョロウグモも軍隊はごめんでしょう▼クモの糸が夕日に輝く秋とバイオリン。上田敏訳のヴェルレーヌの詩、あの「落葉」を思い浮かべる人も多いかもしれません。「秋の日の/ヸオロン(=バイオリン)の/ためいきの/身にしみて/ひたぶるに/うら悲し。」。人みな、何事にも感じやすくなる秋が、深まってゆきます。


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