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2012年10月12日(金)

主張

生活保護基準引き下げ

くらしの「防波堤」なくすのか

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 厚労省が生活保護基準額の引き下げへむけた検討を本格化させています。同省の基準部会を5カ月ぶりに再開し年内に結論を出す方針です。同省は別の部会で親族の扶養義務強化など保護を受けにくくする改悪案の議論も始めています。生活保護法制定から50年余り、政府が大がかりな改悪に乗り出したことは重大です。貧困が拡大し国民を支える「最後のセーフティーネット(安全網)」の拡充こそが急がれるとき、それに逆行する国の責任放棄は許されません。

国民生活と密接な関係

 基準額引き下げは、野田佳彦政権がすすめる消費税増税と社会保障削減の「一体改悪」の一環です。来年度予算編成では、生活保護を「聖域視」しないと容赦ない削減方針を打ち出しています。

 厚労省が当面の削減対象にしているのは基準額のうちの食費、水光熱費など日常生活に必要不可欠な費用です。ギリギリの生活を送る受給者が電気代節約のためエアコン使用を我慢し熱中症で搬送されるケースも少なくありません。さらなる引き下げは受給者をますます苦境に追い込み、命を奪う事態を続発させかねません。

 受給者だけの問題ではありません。生活保護基準額は、国民のくらしを守る法律や制度と密接不可分の関係にあります。

 最低賃金は生活保護を下回らないようにすることを法律で定めています。基準額の引き下げは、最低賃金アップにブレーキをかけ、さらに引き下げにもつながりかねません。住民税の非課税限度額とも連動しているため、基準額が下がれば、いままで無税だった低所得の人にも税金がかかります。保育料、国民健康保険、介護保険の負担も増加する人が生まれます。就学援助を打ち切られ、多くの子育て世帯を直撃します。

 国民が貧困状態に転落しない「防波堤」としての機能を果たしている基準額を引き下げることは、生活困窮状態に国民を投げ込む暴挙にほかなりません。

 基準額を決める現在のやり方も国民のくらしを支える観点が欠如しています。比較に使うデータは、所得階層のなかで一番低い所得世帯の消費支出額です。生活保護基準以下の所得世帯も含まれています。わざわざ低くなるデータを持ち出し、それとのバランスで決めるのでは、“引き下げ競争”にしかなりません。日本国憲法25条が明記する国民の生存権を保障するしくみへの改善こそが必要です。

 生活保護基準額引き下げは、2007年の自民・公明政権時にも狙われましたが、貧困拡大を許さない国民世論の広がりの力で実行を断念させました。当時、野党だった民主党も引き下げ反対を主張していました。その姿勢を投げ捨て、自公政権でも実行できなかった引き下げをすすめる民主党政権には道理のかけらもありません。

「貧困拡大許さぬ」声広げ

 国民の命を守る支出である生活保護を“財政の重荷”扱いするのは間違いです。貧困を拡大してきた雇用破壊や低賃金・低年金の政策をあらためるべきです。

 20日に東京で「反貧困世直し大集会」が開かれるのをはじめ年末にむけ、幅広い市民らが「生活保護改悪許すな」の取り組みをすすめています。国民が安心してくらせる社会保障制度の再生・充実こそが急がれます。


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