「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年10月11日(木)

対立する問題 海洋法で対応

海の協力 東アジア一歩

ASEANフォーラム 米中含む18カ国合意

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 フィリピンの首都マニラで5日に開かれた第1回東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大海洋フォーラムは、国連海洋法条約に基づいて対立する問題に対応することで合意しました。主催国フィリピン政府高官は、「ルールに基づいた海洋協力へ一歩踏み出した」と評価しています。(マニラ=面川誠)


写真

(写真)東アジアの海洋協力を話し合った第1回ASEAN拡大海洋フォーラム=5日、マニラ(面川誠撮影)

 拡大フォーラムの参加国は、ASEAN10カ国に日本、米国、中国などを加えた東アジア首脳会議(EAS)を構成する18カ国で、多くが領有権紛争の当事国です。

 フィリピンも中国との間で南シナ海の島しょをめぐる争いを抱えています。議長を務めたバシリオ外務次官は「この会議は協力の促進が目的で、各国とも具体的な領有権主張は控えた。共通利益という観点から、具体的な協力分野の選定で合意できた」と成果を強調しました。

 漁業、海洋資源、環境保護などが盛り込まれた議長声明の中で、各国が「最大の成果」と指摘するのが、「対立する権利主張への対応を含め、この地域における海洋安保と協力のためにルールに基づいた枠組みを提供する上で、国際法とりわけ国連海洋法条約の普遍的に認められた原則の重要性を承認した」という部分です。

 南沙・西沙両諸島の領有権を中国と争うベトナムのファム・クアン・ビン外務次官は、「領有権紛争の存在を前提に、どのように対立が衝突に至らないよう封じ込めるか、どのような協力の可能性があるのかを論議した」と強調しました。

 フィリピン政府高官は「自国の主張を正当化するために海洋法条約を持ち出すのではなく、各国が同じ意味の“共通語”として海洋法条約を取り上げ始めた」と指摘します。

 海洋法条約に基づいて、紛争解決のために国際海洋法裁判所が設置されていますが、あくまでも当事国間で解決できない場合の手段。条約は2国間、地域的な取り決めによる解決を優先しています。

 拡大海洋フォーラムの議長声明は、地域的な取り決めとして、東南アジア友好協力条約(TAC)、南シナ海行動宣言(DOC)、さらにASEANが中国との締結を目指している南シナ海行動規範(COC)を明記しました。

 ASEAN関係者は、「東アジアの抱えている課題と解決の原則が明確になった。紛争解決の地域的取り決めの必要性は、十分に認識されたのではないか」と語りました。


 国連海洋法条約 1982年に締結され「海の憲法」と呼ばれています。それまでのジュネーブ海洋法にあった領海、公海、大陸棚に加え、海峡、排他的経済水域を新たに規定。紛争解決のために国際海洋法裁判所の設立を定めました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって