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2012年10月4日(木)

原発防災 135市町村対象に

規制委が指針原案 月内策定へ議論

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 原子力規制委員会(田中俊一委員長)の第3回会合が3日開かれ、原発事故が起きた際の住民避難などの対応を定める原子力災害対策指針(防災指針)の改定原案が示されました。緊急時に避難や屋内退避ができるよう備えておく地域は現在の半径8〜10キロ圏から同30キロ圏に拡大され、対象市町村は現行の45から135に増える見通し。道府県数は、富山、岐阜、滋賀、鳥取、山口、福岡の6県が加わり、21道府県となります。

 規制委は来週以降、地方自治体などからも意見を聞き、改定案を10月中に取りまとめる方針。これを基に、各自治体は地域防災計画を年度内に策定します。

 原案は、東京電力福島第1原発事故を受けて原子力安全委員会(当時)がまとめた改定案をベースに、放射性物質の放出前に直ちに避難する予防的措置範囲区域(PAZ=半径5キロ圏)や、緊急時に避難や屋内退避ができるよう備えておく緊急防護措置計画区域(UPZ=同30キロ圏)を新たに設定しました。

 事故時の現地災害対策拠点のオフサイトセンターについては、原発から5〜30キロの範囲を基本に立地すること、施設に適切な放射線防護措置が講じられていることとしています。

 さらに政府、国会、民間各事故調の指摘も考慮し、周辺住民の被ばく防護を確実にするという目的の明確化や、「被災者の視点に立った防災計画を立てる」などの基本的考え方を示し、水素爆発などにより原子炉建屋や格納容器の機能が失われるなどの事態も考慮に入れるとしました。

 規制委は指針改定後も、実際に避難指示を発動するための基準や防護対策の手順など、地域防災計画に必要な詳しい内容を順次まとめます。

 防災計画の策定は原発再稼働の法的条件ではないとしていますが、田中委員長は「計画のないままに再稼働させてくださいと言っても、いいという地域はない。法的要件ではないが現実的な要件だ」との見解を示していました。


原子力災害対策指針の改定ポイント

 ・原子力施設周辺住民の被ばく防護対策を確実にするという目的を明確化

 ・東京電力福島第1原発事故を踏まえ、水素爆発などで格納容器や建屋の機能が失われる事態も想定

 ・複合災害や過酷事故に対応できる訓練の在り方を記載

 ・オフサイトセンターを5〜30キロの範囲に立地する、通信機器の整備、代替施設確保などの必要性を記載

 ・放射性物質放出前に避難する予防的措置範囲区域(PAZ)と、緊急時に避難や屋内退避ができるよう備える緊急防護措置計画区域(UPZ)の考え方を導入

 ・避難住民の精神面や入院患者などの負担を考慮した避難計画策定の重要性を記載

 ・被ばくの状況に応じ、中長期にわたる防護措置の策定の必要性を記載

 ・事故後の住民の健康状態把握の重要性を記載

再稼働判断せず 規制委

 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は3日、原発の再稼働について科学的技術的見地から安全性を確認するのが役割であり、再稼働するかどうかの判断は行わないとする見解を示しました。これまで田中委員長が個人的見解として述べてきたものですが、この日委員全員の意見として一致しました。

 野田佳彦首相はこの間、再稼働の判断について「規制委員会がする」と述べ、政権として再稼働の判断をしないとしており、政権の無責任さが問われています。

 田中委員長は「規制委員会は電力需給、経済的経営的問題にかかわることなく、安全基準を満たしているかどうかを確認する立場。地元に安全についての説明には行けるが、再稼働すべきかどうかの説明や説得はしない」と述べました。

 さらに経済産業省原子力安全・保安院が電力会社の「とりこ」になっていたと国会事故調の報告書で指摘された点に触れて「“施設が安全だから稼働させてください”と言えば、それが自縛となり、安全規制の改善や向上にブレーキがかかる」と指摘。再稼働の判断は経産省が担当すべきだとの考えを示しました。


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