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2012年9月30日(日)

“野鳥の楽園”守ろう

五輪カヌー競技場計画に反対

葛西臨海公園

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 東京2020オリンピック招致委員会は、“野鳥の楽園”とよばれる葛西臨海公園(江戸川区)にカヌー競技場の建設を計画しています。反対の声をあげた日本野鳥の会東京の中村一也代表(55)に聞きました。(岡部裕三)


写真

日本野鳥の会東京 中村一也代表

 野鳥の会東京の会員は約3000人います。毎年、探鳥会を160回余開催し、普及、研究、保護―の三つの活動を続けています。私自身は北海道から小笠原、沖縄県など全国を回って、野鳥の観察を続けています。

最大の生息地

地図

 『東京都産鳥類目録2000』では、野鳥の種類は大田区がトップで262種、2位は江戸川区の229種でした。ピンポイント(特定の場所)で数、種類が最も多いのは江戸川区の葛西臨海公園と葛西海浜公園でした。

 生態系で見ると、野鳥は食物連鎖の上位にあるので、たくさんの種類と数の野鳥がいるということは、豊かな自然の証明でもあります。

 海辺の地域では、浅い海、干潟、氾濫原、アシ原、草原、そして樹林帯が連続している環境がとても大事なのです。東京湾の干潟は江戸時代以降、約9割も埋め立てられました。葛西地域のように干潟が保全され、樹林帯も育ち連続性のある環境は、東京湾の中でも非常に貴重です。

 昨年からは絶滅危惧種のコアジサシが葛西海浜公園の西なぎさで営巣、繁殖するようになりました。

 野鳥は、環境のバロメーターと言われています。渡り鳥は、繁殖地、越冬地、中継地の三つとも保全されないと、世界的に数を減らしてしまいますが、葛西地域はその三つとも役割を果たしているのです。夏は絶滅危惧種の繁殖地でもあるし、春・秋には渡り鳥が海辺の林で休みます。東京湾岸には林が少ないので、葛西臨海公園で記録された森林性の鳥の種類も多いのです。

 東京湾では千葉県の谷津干潟がラムサール条約湿地に登録されています。スズガモが毎年2万羽以上越冬している東京の葛西地域や千葉県の三番瀬も条約の登録要件を楽々クリアしています。

計画の変更を

 今年、小笠原が世界自然遺産に登録されましたが、東京湾奥部の環境も将来的に世界遺産になりうるポテンシャル(可能性)を持っていると私は思っています。

 私たちは、公益財団法人・日本野鳥の会とともに、東京都とオリンピック招致委員会にカヌー競技場計画の変更を要望しました。オリンピックの招致そのものには反対しているわけではなく、ニュートラルな立場です。

 生物多様性からいっても、葛西臨海公園は野鳥にとっても都民にとってもかけがえのないオアシスなのです。

 ここに競技場をつくることは、都民の財産、地球の財産を壊してしまうことに等しいと考えています。

 現代オリンピックを開催するためには、環境の保護は欠かせないと思います。東京都と招致委員会に対しては、計画を変更してもらえるよう引き続き働きかけていきます。


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