2012年9月26日(水)
国連が「法の支配」会合
紛争の平和的解決へ
約80カ国参加 “戦争抑制の保障”
【ニューヨーク=小林俊哉】国連総会は24日、各国首脳が演説する一般討論の開始を前に、「法の支配」に関する高級会合を開催しました。今年の国連総会のテーマである「平和的手段による国際紛争の解決」の「根本的要因」として、人権尊重などを含む「法の支配」が重要だとの認識から、80カ国近くが参加しました。
会合で、イェレミッチ総会議長(セルビア外相)は「法の支配をしっかりと順守することで、戦争に訴える行動を抑制できる」と強調。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、人権尊重などの国際法の順守は、紛争の平和的解決のための基本となるとして、「それは戦闘に逆戻りしないことを保障する手段でもある」と述べました。
同会合では、「人権、法の支配と民主主義は、相互に結びついて互いに強化されており、国連の普遍的で不可欠の核だ」とする成果文書を採択しました。同文書では、国連とは独立に設置され、個人の戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所(ICC)についても、未締約国に参加を呼びかけました。ICCの締約国は現在、121カ国となっています。
米国は、米軍兵士の訴追を免れるためにICCに参加していません。ICC参加国には軍事援助を行わないなどとした国内法も制定され、ブッシュ前政権時代には各国に不参加を要求して、国際的な批判を浴びています。
米国のホルダー司法長官は同日の会合で、「米国は、法の支配の原理に賛同するだけでなく、国連が世界規模で法の支配を強化することを支持する」と表明しましたが、ICCについては言及しませんでした。