2012年9月25日(火)
武装組織解散を宣言
リビア政府 国民が歓迎
【カイロ=小泉大介】リビア国民議会のマガリエフ議長(暫定大統領に相当)が22日、政府管轄外の武装組織を解散させると宣言し、国民から大きな歓迎の声があがっています。カダフィ独裁体制崩壊後の新たな国づくりにとって最重要課題の一つであるだけに、今後、いかに履行されるかに内外の関心が集まっています。
マガリエフ議長は、「われわれは政府の管轄下にない武装組織をすべて解散させる。暴力をふるうことや公共の場所で武器を携行することも禁じる」と22日夜の記者会見で表明。武装組織メンバーを政府軍や治安組織に編入させるための作戦司令部を北東部の主要都市ベンガジに設置することも明らかにしました。
ベンガジ(人口約70万人)では、イスラム教預言者を侮辱する映画への抗議行動に乗じて武装勢力が米国領事館を11日に襲撃し、スティーブンズ大使ら4人を殺害する事件が発生。21日には同地で3万人がこれに抗議し、武装組織の解散を求めるデモ行進を行いました。デモ隊の一部が領事館襲撃の容疑をかけられている武装組織「アンサール・シャリア」の拠点の建物に押しかける事態となり、同組織が22日、ベンガジから撤退しました。
宣言についてベンガジ大学のファティヒ・バジャ教授は本紙の取材に対し、「国民の圧力が、カダフィ体制崩壊後の最も重要といえるこの決定をもたらしました。われわれは米領事館襲撃事件発生の前から国づくりの障害となっている武装組織の解体を求めてきましたが、今回の襲撃事件は、暴力をなくしたいという国民の願いがさらに高まるきっかけになったといえます」と語りました。
そもそもリビアでは、昨年10月に逃亡中のカダフィ大佐が殺害され、40年以上にわたる独裁体制が完全に崩壊。しかし、北大西洋条約機構(NATO)の軍事支援を受けたこの「政変」の過程で国中に武器がばらまかれました。それを手にしたカダフィ残党や各部族などの民兵組織がのさばり、これまで衝突や暴力行為を繰り返してきました。
今回の宣言についてリビアの人々は短文投稿サイト、ツイッターなどで「国民大多数が歓迎するものだ。われわれは武装勢力の支配に疲れ果てている」「民兵の存在は民主化の最大の障害物だ。政府には一刻も早く決定を実行するよう望む」などの声を上げています。