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2012年9月23日(日)

きょうの潮流

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 人形のこけしは、江戸時代に東北で生まれました。温泉地のお土産でした。田植えの後や暑さ寒さの盛りに湯治にやってくる、農民が買ってゆきました▼こけしで有名な福島県の温泉地といえば、土湯(つちゆ)です。温泉街の橋の上にも、巨大なこけしが街のシンボルのように立っています。福島市の郊外、磐梯朝日国立公園の一角です▼土湯の公衆浴場の湯の熱いこと。60度の源泉かけ流し。水でうめてはいます。が、入ったとたん、たまらず飛び出し、涼しい顔でつかる地元の人たちに、笑われてしまいました▼いま土湯で、地熱発電所をつくる計画が進行中です。最近まで地熱発電に規制がかかってきた国立公園の特別地域で、初の試みです。従来の方式にくらべて低い温度の湯を使い、蒸気をとりだす、「バイナリー発電」というやり方を採用します。温泉水の熱を利用し、新しい井戸を掘らなくてもすむそうです。蒸気と湯を地下にもどせば温泉も枯れない方法、といいます▼地球という星で、100度以下のところは0・1%にすぎないとみられています。内部の99%は1000度以上。日本列島には世界の活火山の1割が集まっているのですから、地熱への期待は大きい▼土湯は、原発事故のあおりで客が半分に減り、旅館の休廃業も相次ぎました。そこで始まる、原発に頼らない地域づくり。景観や湯脈への影響を確かめつつ、どうすすむでしょう。大地のエネルギーがひそかに乗り移ったような生命力を感じさせる、こけしも見守ります。


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