「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年9月16日(日)

リビア米大使殺害

背景に国づくり妨害勢力

映画反発装ったテロ

デモ参加者 「イスラムの意思でない」

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【カイロ=小泉大介】米国で作製されたイスラム教預言者冒瀆(ぼうとく)の「映画」に対する抗議行動が中東はじめ各地に拡大しています。その「象徴」ともいえるリビアの米領事館襲撃で大使ら4人が死亡した事件(11日)からは、「映画」への反発を装いながら、暴力によって国づくりを妨害させる勢力が存在していることが浮き彫りとなっています。


 スティーブンズ米大使殺害事件の現場となったリビア北東部の都市ベンガジで12日、これを非難する多数の住民がデモを行いました。

 「大使殺害はベンガジ住民の意志でもなければイスラム教徒の意思でもない」などのプラカードを掲げた参加者。「今回の事態が示したのは破壊と暴力でしかない。イスラムをおとしめようという『映画』作製者のわなにまんまとはまるものであり、恥ずべきことだ」と声を上げるとともに、多くが政府に対し、治安状況の回復を強く求めました。

 リビア当局は13日、大使殺害に関わった容疑で4人を逮捕したと発表しましたが、その身元ははっきりわかっていません。しかし、米領事館襲撃ではロケット砲まで使用されており、民兵などの武装勢力が関与したことは確実です。

 リビアのトリポリ大学政治学部のアフメド・アトラシュ教授は本紙の取材に対し、「今回の事態は、治安におけるわが国の問題点を露呈させてしまいました。領事館襲撃は『映画』への怒りにもとづく衝動的なものだとは思えません。大使が領事館に滞在しているところを狙ったことから見ても、綿密に計画された、政治的意図を持ったものであることは間違いないでしょう」と語りました。

 リビアでは、昨年10月に逃亡中のカダフィ大佐が殺害され、40年以上に渡る独裁体制が完全に崩壊してまもなく1年が経ちます。北大西洋条約機構(NATO)の軍事支援を受けた「政変」の過程では、国中に武器がばらまかれており、それらを手にしたカダフィ残党や各部族などの民兵勢力がいまも闊歩(かっぽ)しています。今回の領事館襲撃はこのような背景のもとで発生しました。

 同国では今年7月の制憲議会選挙で成立した議会が12日、アブシャグール氏を新首相に選出しました。

 アトラシュ教授は「新首相には、早急に政府を確立し、カダフィ残党や過激派勢力を取り締まる具体的な施策を打ち出すことが求められています。治安の改善なしに新たな国づくりはありません」と話しました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって