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2012年9月13日(木)

同時多発テロから11年

オバマ氏演説「米国 安全になった」

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 【ワシントン=小林俊哉】2001年9月11日の米同時多発テロから11年となった11日、全米各地で追悼の催しが開かれました。オバマ大統領は、テロ現場の一つとなった国防総省での追悼式で、「(国際テロ組織)アルカイダの指導層は駆逐され、(指導者)ウサマ・ビンラディンが再びわれわれを脅かすことはない。米国は安全になった」と述べました。

 また、「2014年末までに、米史上最長の(アフガン)戦争は終結する」と強調。「われわれのたたかいは、アルカイダとその同盟者に対するものであり、イスラムや他の宗教とのたたかいではない」とも付け加えました。

 オバマ政権は11年5月、米軍特殊作戦部隊を投入して、パキスタン領内でビンラディン容疑者を急襲し、殺害。アフガン、パキスタン、アフリカの一部で無人機による攻撃を急増させ、テロ容疑者の殺害作戦を強化しています。11月の大統領選に向けても、オバマ陣営は、ビンラディン容疑者の殺害を、安全保障上の大きな“実績”としてアピールしています。

 一方、他国領土での無人機攻撃や、テロ組織掃討の名目で、米市民を含む「暗殺者リスト」をつくって攻撃をくりかえすやり方には、主権侵害、人権の無視との厳しい批判も呼んでいます。


軍事介入で不安定化 テロ根絶はほど遠い

 世界を揺るがした2001年の同時テロから11年。これを機に、米国が軍事侵攻したアフガニスタン、イラクの両国では、依然として治安状態が悪く、テロ根絶はほど遠い状態です。

 アフガニスタンでは、米軍主体の国際治安支援部隊(ISAF)の兵士がアフガン治安部隊員に襲撃される事件が急増。その犠牲者数は8月下旬で、昨年を上回りました。

 イラクでは、8日夜から9日にかけて全土で爆弾テロが発生、100人以上が死亡しました。イラク戦争以降に顕在化した宗派対立が背景となっています。

 これらは、米軍が圧倒的な軍事力で「テロ掃討」作戦を繰り広げた結果、もたらされたものが、地域社会の安定でも、国民の安全でもないことを示しています。

 経済学者ポール・クルーグマン氏は米紙ニューヨーク・タイムズ11日付の論評で、「9・11の攻撃は、ネオコン(ブッシュ前政権を操っていた新保守派)が望んでいた(同時テロとは)無関係の戦争を正当化するために利用された」と述べています。

 米国がアフガン攻撃に踏み切る直前に、国連の場では、テロ根絶の長期的対策として「土壌となる絶望や疎外を生む貧困、暴力などに対処する必要性」が指摘されてきました。それは武力ではなく、国際的協力の強化によって可能となるとの論調でした。

 世界の世論を無視して強行されたアフガンとイラクへの攻撃。昨年の米軍のイラクからの撤退でも、米国内には「勝利感」はなく、アフガンでは駐留期限とする14年以降も米軍駐留を続ける構えです。

 この間の戦費は、米の巨額財政赤字の主要因となり、戦死者だけでなく、戦時ストレスからくる米兵の自殺も急増。二つの戦争への国民の目は厳しさを増しています。11年目の追悼式典で、オバマ大統領が「米国は安全になった」と強調しても、むなしく響くばかりです。(西村央)


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