2012年9月8日(土)
障害区分取り消し棄却
名古屋地裁 判決文は異例の点字
|
名古屋市熱田区に住む全盲の鍼灸(しんきゅう)師・梅尾朱美さん(62)が、「障害程度区分」を軽度と認定した市を相手に、認定取り消しを求めた訴訟の判決が7日、名古屋地裁であり、福井章代裁判長は請求を棄却しました。地裁は判決要旨の点訳書面を提供。判決全文も点字にして後日送達すると伝えました。最高裁によると、判決文の点字化は極めて珍しいといいます。
障害程度区分で障害福祉施策の支給量が決定されます。市は、2006年の審査で、障害程度を重度の「4」と認定しましたが、09年の認定では「福祉サービスの利用時間が減った」などの理由で、最も軽い「1」に引き下げました。これに対し、梅尾さんは提訴を決意。「視覚障害者も点字で裁判を起こせるようにしたい」と、代理人弁護士を付けずに自作の点字の訴状を10年4月に提出し裁判をたたかってきました。
福井裁判長は、判決理由で、「(市の審査は)法令などの基準と合致しており、認定に不合理な点は認められない」としました。
判決後の報告集会で、梅尾さんは「判決文の点訳など、裁判所の努力は評価したい。しかし判決内容そのものは市の判断を追認しただけ。障害者の困難や悲しみは全く考慮されておらず、怒りを感じます」と語りました。
中谷雄二弁護士は「障害者特有の生活実態や苦しさを全く考慮しない不当判決だ」と批判しました。
今回の認定適用期限が今月末のため、梅尾さんは控訴しない方針です。梅尾さんは「今後も障害者の人権確立にむけ、全国でたたかう仲間を支援していきたい」と語ります。