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2012年9月7日(金)

主張

米大統領選

強さへの渇望と裏腹の弱さ

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 米大統領選挙戦が本格化し、オバマ大統領が開会中の与党・民主党の党大会で日本時間の今朝、指名受諾演説を行います。再選に向けた足場をつくれるかどうかが問われています。投票日まで残る2カ月間、少数の激戦州での青(民主党)と赤(共和党)のせめぎあいが注目の的です。

“強いアメリカ”競う

 野党・共和党の党大会で、ライス前国務長官は米国が「世界の先頭に立つ」よう呼びかけ、喝采を浴びました。選挙綱領も「米国は人類史に特別な位置と役割を占めているとの信念」に立つ“強いアメリカ”を打ち出しています。

 共和党のブッシュ前政権は、「対テロ戦争」を掲げてアフガニスタンで報復戦争を行い、意にそわないイラクには大量破壊兵器疑惑をでっちあげて侵略しました。いずれも大きな犠牲をもたらし、米国の単独行動主義が内外で孤立を深め、破綻したのはなお記憶に鮮明です。

 悪夢よもう一度といわんばかりの共和党の主張は、危険であるとともに、滑稽なまでに時代錯誤的です。同党のロムニー候補が仮に当選しても、世界は単独行動主義を決して許さないでしょう。

 対外政策で「バランスを取り戻す」という民主党も、“強いアメリカ”を求める点では負けていません。オバマ大統領は二つの戦争からアジア太平洋に重点を向けるなかで、「ずば抜けた軍事力」を堅持するとともに、日本をはじめとする同盟国をフルに活用しようとしています。

 “強さ”を支えるのが経済力です。二つの戦争による財政疲弊で、米国の軍事費には厳しい削減圧力がかかっています。経済の回復が最大の課題であるのは、民主と共和とを問いません。

 オバマ大統領には、米国民の間に期待に見合わないことへの“幻滅”があります。同大統領の支持率は再選をめざす候補者としては異例な低水準です。大きな要因は経済が回復せず、8%超の失業率が慢性化していることです。

 ブッシュ前政権の末期、金融に依存したはりぼての繁栄が大崩壊しました。それに代わる経済のあり方が米国に求められています。しかし、環太平洋連携協定(TPP)などによる輸出拡大作戦も、見るべき実績をあげるにいたっていません。格差が広がるなかで、中間層の没落がオバマ氏の支持基盤を掘り崩しています。

 ロムニー候補も不人気にあえいでいます。同陣営は、オバマ政権が無保険者の解消をめざして実施した医療保険改革の解体を狙う一方で、富裕層への増税に抵抗しています。資産運用で大富豪になったロムニー氏に、国民の苦難を解決する手だてはありません。

 不人気の克服に、ロムニー氏が選んだのが右傾化路線です。「茶会」を中心とした右翼を総動員するため、「小さな政府」を掲げるライアン氏を副大統領候補にしました。その路線が、国民生活との対立を一段と先鋭化しています。

異常な資金獲得競争

 見過ごせないのは、テレビ宣伝を増やすため、選挙資金の獲得競争が異常というべき規模で行われていることです。草の根の支持が細るなかで、ウォール街をはじめとする支配層に資金を依存することは、次期政権と国民との距離をさらに広げざるをえません。


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