2012年9月6日(木)
国外避難 8月10万人
国連「シリアの状況は危険」
【カイロ=小泉大介】内戦状態にあるシリア情勢をめぐり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は4日、8月に同国から隣国に逃れた避難民が過去最悪の10万人以上に達したと発表しました。先にシリアの人権諸団体が戦闘による8月の死者は5000人前後に上ると発表していましたが、改めて同国の惨状が浮き彫りとなりました。
UNHCRによれば、昨年3月以降、トルコやヨルダンなど隣国で難民登録を行ったシリア人と、現在登録を待っている人々との合計は2日現在で23万4368人となっています。しかし、実際にはこれよりはるかに多い避難民が発生しているとの見方も出ています。
フレミングUNHCR報道官は4日、ジュネーブで行った会見で、避難民数に関し、「本当に驚くべき数であり、非常に危険で暴力的なシリアの状況を示している」と表明しました。
一方、前日からシリアを訪れていた赤十字国際委員会(ICRC)のマウラー委員長は4日、首都ダマスカスでアサド大統領と会談。国際人道支援活動の拡大・強化の緊急性と、民間人保護の必要性を訴えました。国営シリア・アラブ通信によると、大統領は「中立・独立したやり方で人道支援活動が行われる限りにおいて、これを歓迎する」などと述べました。
国連は8月中旬の段階で、シリアでは人口(約2100万人)の1割以上にあたる約250万人が内戦の影響下にあり、食料・飲料水や健康面などの人道支援が必要だと指摘。各国に対し、資金の拠出を訴えていました。