2012年9月5日(水)
どうする 障害者就労
福祉と雇用 合わせた制度必要
フォーラム開催
「障害のある人の労働実態や国際潮流に照らした労働・雇用政策のあり方を探ろう」と障害者の就労支援を考えるフォーラムが4日、参院議員会館内で開かれました。主催は、全国福祉保育労働組合(福祉保育労)と日本障害者協議会(JD)。
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福祉保育労は2007年、国際労働機関(ILO)に対し、障害者自立支援法をはじめとする日本の障害者雇用政策がILOの定める第159号条約(障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約)に違反しているとして提訴。ILOは09年、授産施設などで働く障害者にも労働法規を適用する必要性を示唆するとともに、自立支援法下で働く場に利用者負担が導入されたことに懸念などを示しました。しかし、こうした問題は未解決のままです。
シンポジウムでは、日本の障害者就労の現状と政策課題などについて討論。福祉保育労の谷本樹保(しげやす)さんは「障害者や難病患者など就労が困難な人の雇用率を増やすには、法定雇用率を上げるだけでは難しい。国の税金投入が必要だ」と強調しました。
法政大学の松井亮輔名誉教授は、政府が障害者の就労をすすめる中で障害者雇用促進制度での障害者の範囲や障害者権利条約批准に向けた労働・雇用分野の研究会をつくり検討をする一方、授産施設などで働く福祉的就労の賃金アップや労働法の適応については検討されていないと指摘。自立支援法を改定した障害者総合支援法(13年4月施行)でも問題解決されていないと述べました。
フロアからの発言では、埼玉県内で精神障害者の地域生活を支援する「やどかりの里」の増田一世常務理事は、自立支援法下で障害者が働く場合、いまだに利用者負担が発生していると指摘。また、障害への配慮があり生計を立てられる賃金が支払われる職場が必要だとして「福祉制度と雇用制度を合わせた制度の創設が必要だ」と強調しました。
全国社会就労センター協議会の阿由葉(あゆは)寛副会長は「国による賃金補てんなどで工賃を適切に支払うなどの仕組みをつくり、20万人超の障害者が利用する福祉的就労の場の充実強化が必要だ」と話しました。