「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年9月3日(月)

主張

「エネルギー戦略」

「原発ゼロ」に直ちに踏み出せ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 野田佳彦内閣が進めてきた「エネルギー・環境戦略」の策定作業が大詰めを迎え、「将来的には原発ゼロを目指す」ことを打ち出す方向で、調整が行われています。

 「原発ゼロ」が盛り込まれる見通しになったのは、国民の多数が原発からの撤退を求めていることを反映したものですが、「将来的に」というだけでいつまでに実行するのか、期限を明記しないものになろうとしているのは重大です。「将来的に」というだけでは当面原発に依存し続けることを正当化することにもなりかねません。

国民の意向を骨抜きに

 政府は福島原発事故のあと、これまで原発を基幹的エネルギーとしてきたエネルギー政策を「白紙から」見直すとし、「エネルギー・環境戦略」の策定作業では2030年の原発依存度を「0%」か「15%」か「20〜25%」かの3案を示し、国民の意向などを調査してきました。その結果、各地で開かれた意見聴取会でも、世論調査でも、パブリックコメント(意見公募)でも「0%」支持が圧倒的になり、政府も国民の意向を無視できなくなっています。

 政府が「エネルギー・環境戦略」の策定に向けてまとめた報告でも、大きな方向では、「少なくても過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」ことを認めざるをえません。にもかかわらず「実現に向けたスピード感に関しては意見が分かれている」ことなどを理由に、「エネルギー戦略」には「将来的に…目指す」とするだけで、時期などを明記しない方向での議論が浮上しています。原発からの撤退を求める国民の意向を骨抜きにするものです。

 福島原発事故が発生から1年半たってもいっこうに収まっていないように、いったん事故を起こせば取り返しのつかない重大な被害をもたらす原発からの撤退は、直ちに決断すべきものです。原発からの撤退を決断してこそ、省エネルギーの技術開発や自然エネルギーへの切り替えも進みます。

 現在日本には50基の原発があり、稼働しているのは関西電力の2基だけですが、節約など工夫さえすれば原発抜きでも電力がまかなえたことは、この夏の経験でも明らかです。停止中の原発の再稼働はやめ、再稼働した原発は中止して、原発からの撤退をすすめることこそ、国民の願いです。政府は「将来的に」などとごまかさず、原発からの撤退を明確にすべきです。

 だいたい政府が「脱原発」とはいわず、「脱原発依存」としかいわないのは、「原発ゼロ」を直ちに実行せず「依存」を減らしていこうとしているだけだからではないのか。「原発ゼロ」を求める国民に、正面から応えるべきです。

民主主義を貫いてこそ

 原発からの撤退を求める国民の強い意志は、政府がおこなってきた調査だけでなく、マスメディアの世論調査や、首相官邸前から全国各地に粘り強く広がっている、毎週金曜日の抗議行動などでも明白に示されています。

 政府がこうした世論を無視し、それに反する政策決定を行うことは民主主義に反します。福島原発事故で故郷を離れ、福島県内・県外で避難生活を送る人はいまだに十数万人に上ります。こうした被災者を考えるなら、政府は原発から撤退する決断を、一日も遅らせるべきではありません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって