「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年9月2日(日)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 わが国で初めて人体を解剖した人は、京都の医者だった山脇東洋です。1754年のできごと。死刑にされた男性の体でした▼先立って、東洋は動物を解剖した、といいます。そこで、はっきりしたそうです。どうしても人の体を調べないと分からないことがある、と。彼がまず解剖した動物とは、カワウソでした▼さては東洋先生、カワウソを人の仲間と考えた? もちろん、これは冗談。が、人の子の姿に似る伝説の妖怪、カッパの正体はカワウソだという説があります。よりどころは、水かきです。日本の陸地に昔からすむ哺乳類で、カッパのように立派な水かきをもつ動物はカワウソだけらしい▼カッパだけではありません。イギリス・ネス湖の幻の怪獣ネッシーも、実はカワウソといわれます。数頭のカワウソの1列になって泳いでいる姿が怪獣にみえる、というわけです▼かつて、わが国各地の川辺にたくさんいたニホンカワウソ。環境省は先日、「絶滅種」に定めました。昔から毛皮めあての人たちに襲われましたが、明治時代から河川工事でふるさとを追われます。海辺へ逃げたものの、こんどは海の汚染や魚網のせいで滅んでゆきます。四国の愛媛や高知が、最後のすみかだったようです▼以上、動物学者の故・朝日稔さんの『日本の哺乳動物』に多くを教わりました。朝日さんは、日本が公害列島と化した1970年代、川や海の汚染に憤って書きました。「カワウソは、私たちより一足先に天国へ行ったのだと感じるのである」


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって