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2012年8月26日(日)

レバノンに飛び火

宗派対立再燃 5日で死者16人

シリア内戦

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 【カイロ=小泉大介】内戦状態が悪化の一途をたどるシリアで24日、政府軍が全土で爆撃や銃撃を強め、中東の衛星テレビ・アルアラビアがシリアの人権団体「地域調整委員会」の発表として伝えたところでは、子ども20人以上を含む206人が死亡しました。

 政府軍による24日の攻撃は首都ダマスカス、北部アレッポ、北東部デリゾールなど各地で発生。「地域調整委員会」によると、デリゾールでは軍用ヘリコプターからの爆撃で少なくとも40人が死亡しました。またダマスカスとアレッポでは銃撃で死亡した遺体が合わせて50体以上発見された模様です。

 政府軍の攻撃強化にともない国外に避難する住民も激増。ロイター通信は24日、過去24時間に昨年3月に政府軍の住民攻撃が発生して以降最大規模の3500人がシリアからトルコに逃れたと伝えました。


 ロイター通信によると、レバノン第2の都市、北部トリポリで24日、イスラム教アラウィ派とスンニ派双方の武装勢力による戦闘が発生し、3人が死亡、41人が負傷しました。この日までの5日間で16人が死亡した同地の衝突では、双方とも自動小銃に加え携行式ロケット弾も使用しているとされ、現地の治安関係者は「危険な事態がエスカレートする可能性が高い」と指摘しました。

 イスラム教シーア派に属するとされるアラウィ派は、シリアのアサド大統領の出身宗派であり、同国人口の約1割ながら政権と軍の中枢を占めています。一方、シリアのスンニ派は人口の約7割で多数派ですが、一部を除き政権から抑圧される側にあり、今回のレバノンの事態は、「アラウィ派対スンニ派」というシリア内戦と同様の構図となっています。

 トリポリでは直接の戦闘以外にも、双方による「誘拐合戦」や商店の焼き打ちなどの事態が急増。この治安悪化に、「シリアから逃れてくる難民を支援する活動の障害となっている」(国連難民高等弁務官事務所)との指摘も出ています。

 歴史的にシリア地方の一部であったレバノンはキリスト教とイスラム教を中心に20近い宗教・宗派が存在しています。大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国会議長は同シーア派から選ばれるなど、「宗派政治」ともいわれる統治が行われてきました。

 同国では1975年から90年まで、キリスト教徒とイスラム教徒との対立を軸に、さまざまな宗派を巻き込んだ内戦が起き、イスラエルの軍事侵攻も加わり破壊の限りが尽くされました。同じく内戦に介入したシリア軍は数万人規模の大部隊を駐留させ内戦後のレバノンを実質支配。2005年に撤退しますが、同国ではシリア政権派と反政権派のにらみ合いがつづいてきました。


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