2012年8月22日(水)
きょうの潮流
おめでとうー、ありがとうー。ロンドン五輪のメダリストたちが集結し、約50万人が感動を共有した銀座のパレード。炎天下のなか、あの興奮をもう一度と、沿道をうめた人々の熱気が華やぐ街に満ちあふれました▼オープンカーで先導したレスリング女子3連覇の吉田沙保里選手は「こんなにたくさんの人が応援してくれたんだと思った。ありがとうの気持ちを伝えられてよかった」▼サッカー女子で銀メダルを手にした沢穂希選手は「一生かかっても見ることができないくらいの数の人を一気に見た。感動して涙がでた」▼陸上男子ハンマー投げで銅メダルの室伏広治選手は「祈・被災地復活」の手書きのメッセージを掲げました。「2大会ぶりにメダルを獲得できた自分自身の復活と被災地への思いをかけあわせた」▼短い時間ながら、それぞれの思いをこめて手を振りつづけた選手たち。そのプレーに心を動かされたことへの感謝を大歓声にかえた多くの国民。スポーツの、人と人を結びつける大きな力を感じます。一方で、これを好機と2020年夏季五輪の東京招致をアピールする動きも目立っています▼じかに、オリンピックの興奮と感動を味わいたいという気持ちはわかります。しかし世界に訴える開催理念もなく、施設計画も問題がある招致では、人々の思いもバラバラになってしまいます。国立競技場の改築も都営住宅の立ち退きが前提で、資金調達にサッカーくじを拡大する動きもあります。熱気のなかにも冷静さが必要です。