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2012年8月19日(日)

主張

オスプレイ配備

被害者説得するのは筋違いだ

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 米国防総省が4月にモロッコで起きたオスプレイの墜落事故についての調査報告書を日本に伝えたのを受け、森本敏防衛相が近く沖縄・山口両県を訪問する予定です。オスプレイの岩国(山口県)での飛行訓練と沖縄配備に同意を取り付けるためです。

 オスプレイは開発段階から墜落をくりかえし、今年に入ってからも墜落事故を起こしている危険な欠陥機です。沖縄県民や岩国市民が反対するのは当然です。森本防衛相が米政府の言い分を伝え、米軍基地に苦しめられている被害者の県民・市民に配備受け入れを説得するのはまったく筋違いです。

「安全」の結論先に

 モロッコでのオスプレイの墜落事故について説明を受けるため訪米していた防衛省の神風英男政務官らに米側は、事故は機体の欠陥ではなくパイロットの人為ミスだと説明したといいます。公表された報告書の通りです。神風氏らはその内容を森本氏に伝え、森本氏はそれをもとに若干の分析を加えて沖縄県などに説明する段取りです。米国防総省の報告書をもとにした伝言ゲームそのものです。

 森本防衛相は今月4日の日米防衛相会談のさいオスプレイに試乗し、「飛行そのものに全然問題はない」と、「安全」をふりまいてみせました。わずか30分程度の「遊覧飛行」で安全だというのは、茶番としかいえない無責任な発言です。事故報告書の沖縄県などへの説明もまさに結論先にありきです。

 米国の調査報告書はオスプレイの墜落が「人為ミス」と結論づけていますが、操縦士の「ミス」で簡単に墜落するような危険なオスプレイを押し付けること自体、大問題です。県民の命をあまりにも軽んじる態度です。

 しかも米国の専門家は機体の構造的欠陥をくりかえし指摘しています。2010年4月にアフガニスタンで起きた墜落事故の調査委員長・ハーベル准将が、原因は「エンジン出力の低下」と結論付けたのに、軍が「人為ミス」にせよと圧力をかけた“前科”もあります。米軍の言い分をそのまま信用せよといわれても無理な話です。

 沖縄県民が墜落事故をくりかえすオスプレイの配備に島ぐるみで反対するのは、とりわけ米軍機の墜落が数々のいまわしい記憶につながるからです。1959年には、宮森小学校(現うるま市)に戦闘機が墜落し17人の犠牲者をだしました。65年には米軍ヘリから投下されたトレーラーの下敷きになり少女が命を奪われました。2004年には普天間基地所属のヘリが沖縄国際大学に墜落し、大惨事一歩手前の事態になりました。

 沖縄の空を自由に飛びまわる米軍機が墜落すれば大きな被害をもたらします。墜落事故が相次ぐ危険なオスプレイを「世界一危険」な普天間基地に配備し危険をさらに大きくするのは許されません。

説得する相手は米政府

 沖縄では自治体首長・議会・住民が島ぐるみで配備に反対しています。全国でも米軍基地がある自治体や全国知事会など各地で反対の声が広がっています。

 9月9日には「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が開かれます。政府は国民を説得するのではなく、いったん陸揚げした岩国基地からオスプレイを引き上げさせ、沖縄配備計画を撤回するよう米政府をこそ説得すべきです。


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