「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年8月19日(日)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 革命の国フランス。パリ音楽院の始まりは、18世紀の大革命で生まれた無料音楽学校です。1872年に10歳で院に入るドビュッシー少年の父は、世界初の労働者政府パリ・コミューンの元戦士でした▼少年は、のちの作曲家ドビュッシー。コミューンが弾圧され、父は牢獄(ろうごく)に1年つながれました。暗い体験で少年が負った心の傷は、長い間残ったといいます。のちに第1次大戦が起きると、彼は不安と恐怖にうちひしがれました▼やっと力をとり戻し作曲した2台ピアノ用の「白と黒で」は、戦争のむごさを告発するような曲です。戦争で家を失った子どものために、歌曲「もう家がない子どもたちのクリスマス」もつくっています▼「牧神の午後への前奏曲」や「海」。多くの名作で「20世紀のとびらを開いた」といわれるドビュッシー。8月22日で生誕150年です。「牧神」も「海」も、音楽の輪郭はぼやけ、形にとらわれていた昔の人々は、とらえどころがなく面食らったでしょう▼しかし、時間と光のうつろいを刻々と音符に移したような音の響きから、物事の実体のありさまが伝わってきます。「海」なら、うわべの風景でなく、海がもつ神秘、ゆたかさ、底知れないエネルギー…▼「きまり文句にでなく自由の中に、みずからを律する基準を求めなければならない。…吹きぬけながら世界を物語る、風にだけ耳を傾けよう」。ドビュッシーの言葉です。音楽を革新して時代のとびらを開けた、彼の自由の風は、いまも吹いています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって