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2012年8月7日(火)

主張

エネルギー戦略

原発からの撤退、まず決断を

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 東京電力福島原発事故を踏まえ、原発からの撤退は国民の切実な願いです。政府は事故を機にエネルギー政策を「白紙から見直す」と、「エネルギー・環境戦略」を決める作業を進めていますが、国民の声を踏まえるなら、原発からの撤退をまず決断すべきです。

 67回目の原爆記念日にあたっての「平和宣言」のなかで、松井一実広島市長が、「核と人類は共存できない」という声を反映し、「市民の暮らしと安全を守る」エネルギー政策の確立を求めたことも注目を集めました。

三者択一は根拠がない

 今年秋の策定を目指す政府の「エネルギー・環境戦略」のための作業は、2030年の原発依存度として、「0%」、「15%」、「20〜25%」の3案を示し、国民に選択を求めるのが出発点です。「20〜25%」はもちろん「15%」でも原発の運転を続け、建設から40年過ぎた原発の運転や原発新設が必要になります。「原発ゼロ」の国民の願いとは程遠いものです。

 原発事故の深刻さを踏まえたエネルギー戦略策定にあたってまず求められるのは、政府の責任で原発からの撤退を決断することです。政府が原発から撤退する方針を示さず、「0」か「15」か「20〜25」かと、三者択一で国民に選択を迫るのは、責任ある政府の態度とはとてもいえません。

 見過ごせないのは、そうした限界のある策定作業にもかかわらず、政府がこれまで11回開いてきた意見聴取会などで、原発からの撤退を求める世論がいよいよ浮き彫りになっていることです。

 意見聴取会は三つのシナリオそれぞれについて同数の発言者から意見を聞くやり方でしたが、発言希望者を比べると福島を除く10会場の合計で、「0%」は68%、「15%」は11%、「20〜25%」は16%と、「0%」支持が圧倒的です。三つのシナリオにこだわらず自由に発言を認めた福島会場の場合は意見をのべた30人のうち少なくとも28人が「原発ゼロ」を求め、「直ちに廃炉」を求める意見も目立ちました。国民の世論は明白です。

 あらかじめ三つのシナリオへの賛否を答えた人に討論に参加してもらい、そのうえで改めて調査する「討論型世論調査」(4、5日実施)でも、討論会では「0%」が圧倒的だったといわれています。パブリックコメント(意見公募)は12日が締め切りです。

 政府が「エネルギー・環境戦略」の決定にあたって、こうした声を反映させるかどうかがきびしく問われます。聞くだけ聞いて、採用しないというのでは、国民の不信を募らせるだけです。政府は原発からの撤退を求める国民世論を真剣に受けとめるべきです。

一日も早い決断こそ

 1年5カ月たった東京電力福島原発の事故は完全に収束せず、原因究明も尽くされていません。いったん大事故が起きればもっと重大な事態さえ予想されるのに、原発からの撤退の決断を遅らせること自体、国民の「暮らしと安全」を危うくするものです。

 原発から撤退すればエネルギーに不安が生じるなどの意見がありますが、生命の安全は、何物にも代えられません。一日も早く原発から撤退を決断しエネルギー戦略を決めることこそが、省エネルギーや再生可能エネルギーの拡大にも道を開くことは明らかです。


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