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2012年8月1日(水)

きょうの潮流

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 “なくせ原発”の国会大包囲に参加した夜、道草を食わずに帰り、テレビをみました。NHKEテレの「日本人は何を考えてきたのか―人間復興の経済学をめざして」です▼河上肇と福田徳三。戦前の日本を代表する2人の経済学者の、いまに響く歩みをたどりました。番組の終わり近く、河上の人間味と思想のゆたかさを物語る、おもしろい逸話が紹介されていました▼先の大戦が終わり、河上が亡くなって間もないころの出来事です。山口県岩国市の彼の生家に、泥棒が押し入ります。泥棒は、置手紙を書きのこしました。「汗が出たからハンカチだけもらって行く」▼続けて、「悪かった御免なさい、せっかく入ったけど、河上博士の生家だと気がついたから盗(と)らない」。彼は、『貧乏物語』の書き手で知られる河上肇を、「貧乏人の味方」として敬っていたのでしょう▼『貧乏物語』で河上は、マルクスの説に似た思想は「古くから東洋にもある」といいます。江戸時代の学者・熊沢蕃山(ばんざん)の、『論語』への次のような解説も紹介します。「食足らざるとき…民は盗(とう)す」わけだから、食を満たさないまま盗みを罰してもむなしい…▼河上には、経済の土台のしくみを改め貧困をなくすマルクス説は、東西の昔からの思想を押し広げていった先の、無理のない考えでした。その実現のため、弾圧のきびしさ増す折に日本共産党に入り、権力に捕らわれると大々的に報じられた河上肇。泥棒は、そんな彼の生き方にも共感を覚えていたのでしょうか。


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