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2012年7月31日(火)

きょうの潮流

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 敗戦から67年目の夏。悲惨な戦争の時代を、人間らしさを失わず生き抜いた一人の女性の存在を知りました。生活評論家の吉沢久子さん。戦時下の1944年11月から45年8月までの日記をまとめた『あの頃のこと』を出版しました▼吉沢さんは94歳。日記は、会社勤めをしながら東京・阿佐谷で暮らしていた27歳の頃のものです。「政治家も含めて戦争を知らない人が多くなった今、選挙権もなかった時代の普通の女性が、いや応なしに戦争に巻き込まれ、ただ一生懸命に生きた姿を知っておいてほしいと思いました」▼戦場に行く男たちのために、銃後の守りをするのだと教えられてきた日本の女たち。しかし日常生活も戦場と化していきます。絶え間ない空襲の恐怖に眠れない夜々。バリバリと不気味に響く焼夷(しょうい)弾の爆発音。真っ赤に上がる火の手。一面の焼け野原。昨日まで一緒に働いていた同僚の死。1週間に大根5センチの配給で飢えにあえぐ日々▼「明日どころか今日のこともわからない、いつ死ぬかわからない毎日でした。希望のない状態は人を投げやりにし、自分の生死にも無責任になっていきます」▼それでも一刻一刻を大切に生きようと、庭に野菜の種をまき、芽吹く緑のみずみずしさに目を向け、乏しい食料を工夫し、『源氏物語』を読み、つらい時こそユーモアを忘れずに、と努力する女性の姿からは、人間の生活の尊さが迫ってきます▼不安と閉塞(へいそく)を感じる今こそ、子どもや若者たちと語り合いたい戦争の記録です。


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