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2012年7月29日(日)

主張

大型公共事業の復活

財界奉仕と大増税の一体改革

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 これでは大型公共事業のための増税だ―。民主党と自民、公明両党の談合で消費税増税法案に盛り込まれた条項(付則18条2項)が大きな問題になっています。

 消費税増税でつくった財源を使って、増税で悪化する景気対策として、「成長戦略」や「事前防災及び減災」に重点的に配分するという条項です。

コンクリートにまわす

 法案提案者の野田毅衆院議員(自民党税制調査会会長)が、この条項について答弁しています。「もっと有効な資源の再配分をすることによって、地域の雇用をやろうと思えば減災、防災だけじゃなくて、道路だって最優先の課題の地域がたくさんある」―。

 すでに自民党はそのための法案(国土強靭化(きょうじんか)基本法案)を国会に提出しています。防災を掲げながら「高速自動車国道、新幹線鉄道等の全国的な高速交通網の構築」「産業の国際競争力の強化に資する道路、港湾等の社会資本の整備」などの推進をもぐりこませています。10年間で総額200兆円を投資する構想です。

 消費税増税で庶民から吸い上げた税金を、高速道路や新幹線など巨額の大型公共事業にまわすということです。

 公明党も100兆円の「ニューディール推進基本法案」を発表しました。なにより、民主党自身が「コンクリートから人へ」と公約して凍結した八ツ場(やんば)ダムなど大型事業をのきなみ復活させています。民主党中心の議員連盟は160兆円の公共事業計画をうちだしました。むだな大型公共事業を積み上げて財政赤字を膨らませた1990年代の「公共投資基本計画」の復活です。

 「コンクリートから人へ」どころか人に増税をおしつけてコンクリートにまわすやり方だ―。消費税増税法案を審議する参院特別委員会で27日、日本共産党の山下芳生議員が指摘したとおりです。

 政府は消費税の10%への増税で13・5兆円の増収を見込んでいます。しかし政府の見通しでも、消費税をあてるとしている年金など社会保障4経費は6・5兆円しか増えません。少なくとも差額の7兆円は、社会保障財源以外の分野にまわることがはっきりしています。自民党の野田毅税調会長は27日の特別委員会で、この7兆円のうち5兆円を公共事業にまわすという発想だと認めました。

 それでも野田佳彦首相は、消費税増税で生まれる財源は「社会保障以外に回さない」とのべています。まったくの詭弁(きべん)にすぎません。化けの皮がぼろぼろにはがれているのに同じことばをくりかえす首相はまるで裸の王様です。

いつか来た道許さない

 経団連は国際競争力の強化のために「道路、空港、鉄道、港湾」などの整備を求めています(「成長戦略2011」)。消費税増税法案には新たな大企業減税の検討も盛り込まれました。社会保障と税の一体改革は完全に看板倒れです。財界奉仕と庶民大増税の一体改革と呼ぶほかありません。

 消費税増税で景気を悪化させながら、景気対策の名で大型公共事業をばらまくやり方は、まさに“いつか来た道”です。景気悪化と大企業減税で税収を減らし、そのうえ巨額のむだ遣い―。雪だるま式に借金を膨らませる道を再び進んではなりません。


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