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2012年7月25日(水)

主張

政府事故調報告

野田首相は収束宣言撤回せよ

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 東京電力福島原発事故について調査してきた政府の事故調査・検証委員会が報告書をまとめ、原発で重大事故は起きないとしてきた国と東電の「安全神話」をきびしく批判するとともに、事故は全容が解明していないとして継続調査の必要性を強調しました。

 問われるのは報告書を受け取った政府の対応です。野田佳彦首相は昨年末福島原発事故の「収束」を宣言し、停止中の原発の再稼働や原発に依存したエネルギー政策の検討を進めています。報告を真剣に受け止めるなら、収束宣言は撤回し再稼働は中止すべきです。

いまだ解明つくされず

 原発事故の調査・検証は、国会や民間の調査委員会でもおこなわれており、政府の報告書提出で主なものは出そろいました。地震による被害をどの程度見込むのかなどの違いもありますが、当事者である東電の報告書を除き、地震や津波への備えを欠いた国や東電の責任をきびしく批判し、「事故は終わっていない」(国会事故調)と、原因の調査や被災者対策を続けるよう求めているのは共通です。

 とくに政府が設置した調査・検証委員会の報告が、福島第1原発の損傷箇所や被害状況などについて「いまだに解明できていない点も多々存在する」と、継続的な事故原因の調査を求めるとともに、住民の健康への影響や、農畜産物、空気・水・土壌などの汚染についても継続調査を求めているのは重要です。「国は(当委員会や国会事故調の報告で)事故調査・検証を終えたとするのではなく、引き続き事故原因の究明に主導的に取り組むべきである」という報告書の指摘は重いものがあります。

 野田首相は昨年末、原発事故から9カ月余りたった記者会見で、「発電所の事故そのものは収束に至った」と事故の「収束」を宣言しました。今回の報告書の指摘を待つまでもなく、原子炉の内部に近づくことさえできず、いまだに多くの避難者が帰ることさえできない実態が「収束」の名に値しないのは明らかです。

 地元の福島では「収束」宣言が原因究明や被災者対策の障害になると、宣言の撤回を求める声が相次ぎました。実際、「収束」宣言後、政府は住民が避難させられている避難区域の見直しを進め、住民に新たな亀裂を生んでいます。全国で停止していた原発についても再稼働させる意向を固め、何の根拠もないのに「福島のような事故は起きない」といいはって、まず関西電力大飯原発の3、4号機を再稼働させました。「収束」宣言が事故対策の障害になっているのは明らかです。事故調査・検証委員会の指摘も受け、政府は「収束」宣言をきっぱり撤回すべきです。

「異質」の危険直視を

 今回の報告書は原発事故について、施設・設備を破壊するだけでなく、放射性物質の拡散で住民に影響を与え、環境を汚染し、経済活動を停滞させ、ひいては地域社会を崩壊させると、「他の分野の事故には見られない深刻な影響」を指摘しています。その立場から、事故の経験を引き継ぎ、再発防止にあたることを求めています。

 政府と電力会社にもっとも欠けているのは、原発事故の、こうした「異質」の危険への自覚です。再稼働や原発依存はやめ、事故の再発防止には一日も早く原発からの撤退を決断すべきです。


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