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2012年7月24日(火)

根源的問題に「安全神話」

福島原発 政府事故調が最終報告

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 政府の東京電力福島原発事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大学名誉教授)は23日、最終報告書を公表しました。原発の危機対応能力が脆弱(ぜいじゃく)だった根源的問題として「東電を含む電力事業者も国も、安全神話にとらわれていたがゆえに、危機を身近で起こり得る現実のものと捉えられなくなっていた」と指摘しました。

 報告書は、政府の事故対応については、官邸の対応、避難指示はじめ被害の拡大防止策、放射線情報の広報の問題点を検証。炉心溶融の可能性を否定した原子力安全・保安院の対応(昨年3月14日)は「災害対策関係者や住民の切羽詰まった情報ニーズを誤った方向に導く極めて不適切なものだった」と指摘しました。

 東京電力の対応については、事故発生と被害拡大の重要要因として「同社には原発プラントに致命的な打撃を与えるおそれのある大津波に対する緊迫感と想像力が欠けていたと言わざるを得ない」と断じました。東電の問題点として(1)危機対応能力に脆弱な面があった(2)過酷事故を想定した教育・訓練が不十分(3)事故原因究明への熱意が十分感じられない―ことをあげました。

 東電のやった調査・検証に対しては「事実誤認を前提としているものも多い」「不徹底なものであった」と厳しく批判しました。

 事故総括の重要論点として報告書は、被害者の視点を強調。広範な事故被害の恐れのある原発システムの運用にあたっては「被害者の視点」を見据えたリスク要因の点検・洗い出しを提起しました。

 また、今回の大津波発生について「想定外」の見方を批判。(1)地震・津波の学問研究の進展に敏感に対応し、適宜見直し・修正を行う(2)少数でも地震研究者が危険性を指摘する特定の領域については、実態解明を急ぐためのプロジェクト立ち上げなど新しい発想の防災計画策定―などを行政側に求めました。

 報告書は、主要施設の損傷場所や損傷の時間的経緯など事故の詳細について、原子炉建屋内外の放射線レベルが高く「解明できていない点も存在する」としつつ、地震で主要機器が大きく損傷した可能性は否定。地震動の影響を含めた原子炉建屋内の詳細な実地検証はじめ、未解明の部分については、国、電力会社、原発プラントメーカーなどに徹底調査・検証を継続する組織的体制を組むよう求めました。とりわけ国に対しては事故原因究明に主導的に取り組むよう求めています。


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