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2012年7月21日(土)

対シリア決議 否決

安保理 経済制裁言及 ロ中拒否権

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 【ワシントン=小林俊哉】国連安全保障理事会は19日、内戦状態に陥っているシリア情勢をめぐり、同国のアサド政権が停戦に応じなければ、経済制裁を科すとした欧米提出の決議案を採決しましたが、ロシア、中国が拒否権を発動し、否決されました。

 同決議案は、シリアの当事者すべてに暴力の停止を求め、アナン国連特使による6項目の調停案の実施を改めて求める内容です。同時に、シリア政府に対しては、人口密集地からの軍の撤退や、同地での重火器の使用停止などを10日以内に実施しなければ、経済制裁など非軍事的措置を定めた国連憲章第7章41条に基く措置を直ちに実施すると明記。アサド政権への圧力を強める要素を盛り込んでいました。

 採決では15理事国のうち11カ国が賛成。パキスタンと南アフリカが棄権しました。

 シリアをめぐる決議案にロシアと中国が拒否権を発動するのは、昨年10月、今年2月に続き3回目です。ロシアのチュルキン国連大使は採決後、軍事・非軍事両方の制裁措置を定めた「憲章7章」に基く決議は「受け入れられない」と主張。「シリアの内政問題に対し、制裁の圧力、ひいては外部からの軍事介入へ道を開く」と述べました。中国の李保東国連大使は、外部からの圧力によらない解決が必要だと述べました。

 シリアでは、政府軍と反政府勢力との衝突が激化し、すでに1万4000人を超える死者が出ています。今回の決議案は「憲章7章」のうち、非軍事的制裁を定めた41条にのみ言及しており、武力行使や外国軍による介入を認めたものではありません。

 米国のライス国連大使は「拒否権発動は、危険であり、遺憾だ」と批判。安保理での努力が“挫折”しているのを踏まえ、有志諸国からなる「シリアの友人会合」など「安保理の枠外での幅広いパートナー諸国との協力を強化する」と述べました。

 棄権した南アフリカの代表は、決議案にシリア政府に対する制裁措置は盛り込まれたものの、暴力行為を続ける他の武装グループへの措置がないと述べました。

 一方、同決議案には、シリアに派遣されている国連停戦監視団の活動期限が20日で切れることから、45日間の派遣期間延長も盛り込まれていました。否決されたのを受け、英国は、暫定的に30日間の延長決議案を提示しています。


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