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2012年7月13日(金)

きょうの潮流

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 「全世界のように巨大で高くて広いキリマンジャロの四角い頂が、…信じられないくらい純白に輝いていた。そのとき彼は、自分が行こうとしているのはあそこなのだと知った」(大久保康雄訳)▼ヘミングウェイの小説『キリマンジャロの雪』で、主人公の作家がみる幻覚です。主人公は、キリマンジャロの雪の白さに、気高い理想を求める生き方を発見したのでしょうか▼ヘミングウェイ自身、同作を発表した1936年、スペイン人民戦線政府を支援する運動を始めます。作中、主人公のフランス・パリの思い出も興味深い。彼は、1871年のパリ・コミューン戦士の子孫たちの住む街が好きでした▼東京・岩波ホールで公開中の映画「キリマンジャロの雪」の主人公は、フランスのたたかう伝統を受けつぐ労働者です。港町マルセイユの労働組合委員長の彼は、リストラ人員を組合員のくじで選び、自身も引き当てて退職します▼子どもたちが、いたわりの気持ちを込めて彼と妻に旅を贈る。アフリカ・キリマンジャロへ夢の旅を、と。が、強盗に金も航空券も奪われてしまう。なんと、犯人は同僚だった青年。失業した青年は、幼い家族も養っていて…▼昔なら公平だったかもしれないくじは、格差が広がり移民も多い今では間違いだった。働く者のために体を張ってきた誇りを打ち砕かれる主人公。しかし彼は、新しい連帯の道を探り、良心と理想に従う生き方をつらぬく。きっと、キリマンジャロの雪も見果てぬ夢ではないでしょう。


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