2012年7月3日(火)
委託2社 契約解除へ
法務局登記事務 相次ぐ不正
業務停止1カ月
民間業者に委託されている法務局の登記簿公開・閲覧事務(乙号事務)にかかわって、法務省は2日、受託業者2社に業務停止命令を出しました。理由は健康保険料などの滞納で停止期間は1カ月。内閣府の官民競争入札等監理委員会の決定を受けて8月に契約を解除する方針です。
2社はATGカンパニー(東京都世田谷区)と、そのグループ会社アイエーカンパニー(同上)です。両社は昨年5月、登記簿を不正に取得したとして4カ月間、法務省から業務停止処分を受けています。両社はこのほかにも厚生年金保険料、健康保険料などを過少納付していた違法問題もあり、ことし2月に略式起訴され、罰金30万〜50万円の略式命令がだされていました。
保険料の滞納問題について両社はその後も改善しませんでした。そのうえ6月27日には「労働条件の変更について」という文書を出し、労働者の賃金を2割カットしています。
日本共産党の井上哲士参院議員は、両社の不正実態を5回にわたって国会で追及。3月の法務委員会では両社との契約を即刻解除するよう求めていました。
乙号事務の質の維持と雇用確保を求めてきた民事法務労組(全労連・全国一般加盟)の衛藤喜代美委員長は、「契約解除はたたかいの成果です。一方で、両社で働く労働者、組合員の賃金や雇用をしっかり確保する必要があります。今後、両社を参入させた『市場化テスト』の問題点や法務省の責任を明らかにしながら、公務公共サービスを守るとりくみをさらに広げたい」と語っています。