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2012年6月30日(土)

医療保険義務化は合憲

米最高裁が判決 大統領選影響も

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 【ワシントン=小林俊哉】米連邦最高裁は28日、医療保険未加入者数を減らすために、国民に保険加入を義務付けた医療保険改革法をめぐる違憲訴訟で、合憲と判断しました。オバマ政権1期目の最大の「成果」とされる同法をめぐる司法判断は、大統領選の論戦にも影響しそうです。


 日本や欧州諸国などと異なり、公的皆保険制度のない米国では、5000万人に上る無保険者の解消は長年の政治課題です。医療保険改革を公約に掲げて当選したオバマ大統領は、公的皆保険の導入は断念する一方、民間保険の購入拡大で無保険者縮小を目指す方策を採用。2010年3月に同法は成立しました。

 同法は保険購入を義務付け、十分な所得がありながら未加入の者には年収の1%の「罰金」を適用。低所得者には政府補助による低価格保険を提供し、保険企業には、既往症による保険金支払い拒否の禁止など、消費者保護の規制強化策を盛り込みました。一部はすでに施行されていますが、大半の条項は14年に施行されます。

 同法で新たに3000万人に保険加入の道が開かれると推定されています。

 一方、公的皆保険を求める市民から、“妥協”との批判を浴びています。

 野党・共和党は、規制強化に強く反発する業界の声を背景に同法を激しく批判。今回の訴訟は、保険購入の義務付けに焦点をあて、共和党の知事を中心に26州が違憲訴訟を起こしたものです。

 判決は、9人の判事のうち、5人が合憲、4人が違憲と判断。多数意見に加わったロバート最高裁長官は、保険購入を義務付ける権限は議会にはないとしたものの、同法が定める「罰金」は「税」にあたり、連邦政府には税を徴収する権限があるとして、合憲としました。

 公的皆保険を求める声もあり、国民世論は複雑な反応です。24日発表のロイター通信などの世論調査では、国民の56%が同法に反対。一方、保険業界への規制強化には大半の国民が賛成しています。

 オバマ氏は判決後、同法を確実に施行していくとの声明を発表しました。

 共和党の大統領候補と目されるロムニー前マサチューセッツ州知事は同日、当選後、ただちに同法を廃止すると改めて表明。同党指導部も同日、廃止法案を7月11日に下院で採決するとしました。

 米国の医療保険制度の不十分さを告発した映画『シッコ』で知られるマイケル・ムーア監督は同日、ツイッターで、オバマ氏は公的皆保険の導入という原点に立ち返るべきだと指摘しています。


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