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2012年6月25日(月)

シリア政府軍 離反急増

大虐殺は政府側民兵の仕業

反政府勢力の攻勢に驚き

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 【カイロ=小泉大介】シリアでは、政府軍と反政府武装勢力との暴力の応酬で「内戦」危機が深まる中、政府軍から離反する兵士の増加が顕著となっています。その動向が、今後のシリア情勢の行方にとって焦点の一つとなっています。


 シリア政府軍からの離反をめぐり、国際社会の大きな注目を集めたのが、21日に空軍所属のロシア製ミグ21戦闘機が隣国ヨルダン北部の軍事基地に緊急着陸し、パイロットの大佐が政治亡命したことでした。

 その翌日の22日、中東の衛星テレビ・アルジャジーラは、英国に拠点を置く「シリア人権監視団」からの情報として、シリア軍の准将2人と大佐2人が離反し、反政府武装組織への参加を表明したと報道。さらに同テレビは23日には、反体制派活動家の話として、シリア東部デイルエゾールで約30人の政府軍兵士が離反したと伝えました。

■うそだった

 メディアなどでは、離反兵士増加に関し、大きく二つの理由が指摘されています。

 一つは、5月25日に中西部ホウラで子どもや女性を含む108人が殺害されたことに象徴される、政府軍と親政権民兵組織による住民大虐殺です。ホウラの虐殺時、自宅にいた地元の政府軍兵士は外国メディアに対し、「住民を殺したのは(親政権民兵組織の)シャビーハだった。われわれはそれまで、住民虐殺は反政府武装勢力の仕業だと聞かされてきたが、それはうそだった」とし、これ以降、政府軍からの離反者が急増したと証言しました。

 政府軍の幹部や親政権民兵組織の大部分はアサド大統領と同じイスラム教アラウィ派(人口の約1割)が占めています。ホウラ大虐殺を受け、中東の衛星テレビ・アルアラビアは、虐殺を行ったアラウィ派兵士と、政府軍内部のスンニ派(同約7割)兵士との間の亀裂が深まっていると報じました。

■広がる不安

 シリア政府軍兵士の離反急増の第2の理由は、反政府武装勢力の「攻勢」です。

 汎アラブ紙アッシャルク・アルアウサト18日付は、シリア軍兵士の間で現在、「不安」が広がっているとの記事を掲載。そこでは、ある軍関係者が「危機勃発の当初は、数日でこれを解決できると思っていたが、いまだに危機を制御できないでいる」「政府高官も今では、政府軍に対峙(たいじ)しているのが、これまでいわれてきたようなギャングではなくて、組織された軍隊であることを認めざるを得なくなっている」と語っています。


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