2012年6月18日(月)
監視団 活動一時停止
女性・子ども殺害 「内戦」危機さらに
シリア
【カイロ=小泉大介】シリアに展開する国連停戦監視団(約300人)は16日の声明で、活動を一時停止したと発表しました。政府軍側の攻撃が一段と激化する可能性が高まり、「内戦」状態ともいわれるシリア情勢は新たな重大局面を迎えました。
国連停戦監視団のムード団長は声明で、「(政府軍と反政府武装勢力の)双方に平和的な情勢打開に向けた意思が欠如しているため、一般市民、女性や子どもが日々殺害されている」と指摘。「このような危険な状況下、国連停戦監視団は活動を一時停止し、さらなる通知があるまで拠点で待機する」と表明しました。
非武装の国連停戦監視団は、シリア政府が4月12日にアナン国連・アラブ連盟合同特使の「停戦」案に同意したことを受け、2度の国連安保理決議にもとづき展開しました。しかしその後も政府軍と親政権の民兵組織によるとみられる2度の「住民大虐殺」が発生するなど攻撃は激化。これに対し反政府武装組織「自由シリア軍」も停戦破棄を宣言し、反撃を強めてきました。
現地からの報道によると、シリアでは16日にも政府軍の攻撃により全土で63人が死亡しました。主要な反政府組織「シリア国民評議会」によると、これまでも政府軍の大規模攻撃にさらされてきた中西部ホムス中心部では現在、約3万人の政府軍や親政権民兵が街を包囲し砲撃。取り残されたとみられる約1000家族に対する新たな「大虐殺」の懸念も高まっています。