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2012年6月12日(火)

主張

シリア市民虐殺

国際社会が責任を果たす時だ

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 シリアからの報道が世界に衝撃を与えています。子どもたちの遺体が並ぶ写真は正視にたえません。シリア政府に2日間足止めされた国連監視団が虐殺現場に入ったとき、遺体は散乱し死臭がただよっていたといいます。

 重火器で破壊された街に、人道のかけらもない異常な現実があります。女性や子どもまでが虐殺されました。いずこかへ連れ去られた男性のなかには、治療にあたっていた医師までが含まれていたといいます。そのほとんどが、アサド政権に忠誠をつくす軍や民兵組織によるとみられています。

国際人道法踏みにじり

 シリアで市民の民主化要求が高まり、街頭デモが公然と行われるようになったのは昨年3月でした。中東でもっとも厳しい国民抑圧の体制をしくシリアで起きた変化に、世界の目が集まりました。そのもとでさえ、アサド政権は政府に批判的な住民の多い地域一帯で、容赦のない野蛮な攻撃を絶え間なく加えてきました。

 アサド政権は自国民を無差別に攻撃したうえ、市民を「テロリスト」よばわりすることで弾圧を正当化しています。民主化を求める国民と平和解決を望む国際社会をあざけり、シリアも批准している国際人権規約をはじめ国際人道法を乱暴に踏みにじっています。

 アサド政権は市民への武力弾圧をただちにやめるべきです。事態はアサド政権の存続の是非が問われるところにきています。反政府勢力との内戦の本格化が危惧されるなか、首都ダマスカスでも戦闘が起きていると伝えられます。内戦が拡大すれば、市民にいっそうの犠牲を出すことが懸念されると同時に、反政府勢力が周辺諸国などの支援をあおいでいることもあり、紛争が国境を越えて飛び火する可能性も否定できません。

 国連とアラブ連盟は2月、アナン前国連事務総長を特使に任命し、停戦をめざして調停に乗り出しました。安保理も調停を支持する決議を採択しました。しかし、アサド政権による市民への攻撃が激しさを増すなかで、調停は事実上失敗に終わっています。事態を打開するため、アナン特使は関係各国と協議をしています。国連を中心とした努力が解決の糸口にならなければなりません。

 アサド政権による暴力をやめさせるため、国際社会が一致して責任を果たしていくことがあらためて求められています。重要なのは、平和的手段による事態の解決です。外部から軍事力でアサド政権を倒すことを公然と主張する政府はいまのところありません。

 軍事介入は国連憲章に反し、国際社会を分断します。イラク戦争の教訓からも、厳しく戒められなければなりません。中東は民族や宗派の対立など複雑な要素を抱えています。シリア問題が地域の緊張を高めないようにするうえでも、解決に向けた国際社会の行動が急がれます。

一致した行動こそ

 大国のさまざまな思惑が国際社会の対応を難しくしている面もあります。事態の打開には一致した行動をとることが必要です。アサド政権の暴力は国連報告でも明らかであり、これに目をつぶるような姿勢は国際社会の理解を得られません。21世紀の今日、これほど悲惨な現実が続いていいわけはありません。


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