2012年6月9日(土)
シリア打開 結束の時
国連総長訴え
「残忍行為を非難」
【ワシントン=小林俊哉】国連総会は7日、シリア情勢をめぐって会合を開き、潘基文(パン・ギムン)事務総長が「国際社会は現実を認識し、団結して行動しなければならない」と訴えました。総会参加者は冒頭、アサド政権と反政府派の衝突によって犠牲となった市民に向け黙とうしました。
潘氏は、「(シリアが)全面的な内戦に陥る危険が差し迫っている」「日を追うにつれ、恐ろしい残虐行為が新たに積み重なっているようだ」と指摘。「言語に絶する残忍行為を非難する」と強調しました。
潘氏は、特使を務めるアナン前事務総長の調停案が、国際社会の努力の中心であり続けると述べたものの、「シリア情勢の展開はだれにも予期できない。われわれはあらゆるシナリオに備えなければならない」とも主張しました。
アナン前事務総長も報告に立ち、6日に発生したシリア中部ハマでの虐殺行為を厳しく批判。自身が提唱している調停案が実現されていない状況を率直に認めました。
アナン氏は「(現在の事態が)長引くほど、政治解決が難しくなる」と指摘し、「われわれは、新たな行動に向け、共通点を見いださなければならない」と強調。一方で、「個別の行動や介入で危機は解決できない」として、性急な単独行動を戒めました。