2012年6月8日(金)
シリアでまた大虐殺
子ども・女性含む百人近くか
【カイロ=小泉大介】政府軍による激しい住民弾圧と反体制派武装勢力の抵抗が続くシリアで6日、新たな大虐殺が発生し、中東の衛星テレビ・アルジャジーラが現地住民の話などをもとに伝えたところによると、86人以上が死亡しました。相次ぐ大虐殺をめぐり、アサド政権に対する国際社会の非難がさらに激化するのは必至です。
アルジャジーラによれば大虐殺が発生したのは中西部ハマにある村で、先月25日に中西部ホウラで108人が殺害された際と同様、政府軍の砲撃に続き親政権派の民兵組織が家屋を襲い犯行におよんだ模様です。多数の子どもや女性も犠牲になったとされますが、全体の死者数に関してはロイター通信が少なくとも78人とするなど情報が錯綜(さくそう)しています。
シリア政府は7日、国営テレビで「メディアの報道は完全に間違っている」とし、虐殺への関与を全面否定しました。
英国に拠点を置く「シリア人権監視団」は6日、「国連停戦監視団に対し、すぐさま現場に入り調査することを求める。明日まで待つべきではない」との声明を発しました。
大虐殺が発生した6日には隣国トルコのイスタンブールで、欧米やアラブの15カ国の代表が集まり、シリアの反体制派勢力を支援するために「連絡グループ」を結成することで合意。また、在外のシリア人実業家組織が同日、カタールの首都ドーハで会見し、反体制派武装勢力を支援するために3億ドル(約240億円)を拠出すると発表するなど、アサド政権の交代を求める動きが強まっています。